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錦織とチャン氏、鉄壁の師弟関係 「ほかの選手の依頼なら断った」

錦織圭選手を支えるコーチのマイケル・チャン氏。「ほかの選手からの依頼なら断った」というチャン氏と、錦織選手は鉄壁の絆を誇ります。

練習する錦織(右)とマイケル・チャン・コーチ=2015年1月、野田枝里子撮影
練習する錦織(右)とマイケル・チャン・コーチ=2015年1月、野田枝里子撮影 出典: 朝日新聞

目次

 日本勢過去最高、第4シードで全米オープンに挑む錦織圭選手。トップ選手になるきっかけを作ったのが、4大大会の男子シングルス最年少優勝記録(17歳3カ月)をもつコーチのマイケル・チャン氏です。2013年から、精神面だけでなく技術面でも指導をしています。コーチ就任時「ほかの選手からの依頼なら断った」と語ったチャン氏を、錦織選手も「世界のトップ3のコーチに入る」と絶賛。2人は鉄壁の絆を誇ります。

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「自分の時間を割く意義を感じた」

 「圭のコーチを引き受けたのは、自分の時間を割く意義をすごく感じたから」
 コーチ就任時、チャン氏は錦織選手について「圭のサーブはまだまだ改善できる。圭の身長は高くないけど、少なくとも僕よりは大きい」と評しました。

 錦織選手は、チャン氏の指導について「一番感謝(かんしゃ)したいのは、自分のテニスをすれば、どんな選手にも通じると信じさせてくれたこと」と語っています。

ネット際でボレーの練習をする錦織圭。奥はコーチのマイケル・チャン氏=2015年1月、内田光撮影
ネット際でボレーの練習をする錦織圭。奥はコーチのマイケル・チャン氏=2015年1月、内田光撮影 出典: 朝日新聞
今回、圭のコーチを引き受けたのは、自分の時間を割く意義をすごく感じたから。ほかの選手からの依頼なら断っただろう。幸い、私は生計を立てるためのお金には不自由していない。5年前に結婚して、3歳と10カ月の可愛い娘がいる。家族と過ごす時間が、これまでは最優先だった。
2013年12月27日:錦織に全仏王者の教え コーチにマイケル・チャン氏 テニス:朝日新聞
錦織選手は、チャン氏の指導について「一番感謝(かんしゃ)したいのは、自分のテニスをすれば、どんな選手にも通じると信じさせてくれたこと」と語る。トップ10の選手との対戦(たいせん)は通算(つうさん)9勝23敗だったが、今年は11勝7敗。右足親指の手術明けで、錦織選手が欠場(けつじょう)も考えていた全米オープンに「出場すべきだ」と強く促(うなが)したのもチャン氏だった。
(ニュースのおさらい ジュニア向け)錦織選手が活躍しているね:朝日新聞デジタル

身長のハンデ、俊敏さで補う

 それまで錦織選手は、テニスの技術、戦術の面では自己流を大切にしてきました。錦織選手がチャン氏に当初期待していた役割は、精神面のアドバイザーでした。ところが、チャン氏の指導は技術面にも及びました。

 世界で活躍する選手の多くは180センチ台後半か、それ以上です。身長178センチの錦織選手と、175センチのチャン氏。背が低いハンディを俊敏さで補うテニスは2人に共通しています。小柄ながら、世界の頂点で渡り合ったチャン氏は、サーブのトスの位置から肉体のメンテナンスに至るまで徹底して教えこみました。

 そんなチャン氏の指導について、錦織選手も信頼を寄せています。「押しつけじゃなく、一つひとつ丁寧に論理的に説明してくれるし、実際に言われたとおりに打ってみると、納得できることが多い」と語っています。

練習する錦織圭。奥はコーチのマイケル・チャン氏=2015年1月、内田光撮影
練習する錦織圭。奥はコーチのマイケル・チャン氏=2015年1月、内田光撮影
テニスの技術、戦術の面では自己流を大切にしてきただけに、錦織がチャンに当初期待していた役割は、精神面のアドバイザーだった。ところが、チャンの指導は技術面にも及んだ。「足りない点をピンポイントで指摘してくれる。プレースタイルや背の高さを考え、必要な点を見抜き、時に厳しく教えてくれた。僕に好かれるためでなく、本当に情熱をもってやってくれるのが良い」。178センチの錦織よりさらに3センチ小柄ながら、世界の頂点で渡り合ったチャンに、サーブのトスの位置から肉体のメンテナンスに至るまで徹底して教えこまれた。
[第48回]男子テニスのトッププロ -- Sports -- 朝日新聞GLOBE
 世界で活躍する選手の多くは180センチ台後半か、それ以上に高い。身長178センチの錦織選手と、175センチのチャン氏。背が低いハンディを俊敏(しゅんびん)さで補(おぎな)うテニスは2人に共通(きょうつう)する。技術、戦術(せんじゅつ)でも教わることは多い。
 さらにこの2年間、中尾公一(なかおこういち)トレーナーと地道(じみち)に取り組んできた肉体強化(にくたいきょうか)も実(み)を結(むす)び、全米オープンの2週間では7試合を戦い抜(ぬ)く粘(ねば)りを見せた。
(ニュースのおさらい ジュニア向け)錦織選手が活躍しているね:朝日新聞デジタル
――反論はしない?
 「少しは言います。でも、今のところ、ほとんど言い負かされている……。押しつけじゃなく、一つひとつ丁寧に論理的に説明してくれるし、実際に言われたとおりに打ってみると、納得できることが多い」
2013年12月27日:錦織に全仏王者の教え コーチにマイケル・チャン氏 テニス:朝日新聞

「圭のゴールはもっと上にある」

 チャン氏はコーチ就任にあたって「圭のテニス人生のゴールが世界17位とか、トップ50にいることなら、僕は必要ない。でも、圭のゴールはもっと上にある。それを後押ししたい」と述べています。

 言葉通り、錦織選手はみるみる成長します。2013年17位だった世界ランキングは、2014年5位に。成績も2013年36勝19敗だったのが、2014年は54勝14敗になりました。

 「圭は気後れしてはいけない。尊敬するフェデラー(スイス)であっても、コートの上では、自分の行く手を阻む邪魔な存在でしかないのだ」と語るチャン氏。大舞台での錦織選手の活躍が期待されます。

マイケル・チャンさん、アンドレ・アガシさん、錦織圭、松岡修造さん=2014年11月、川村直子撮影
マイケル・チャンさん、アンドレ・アガシさん、錦織圭、松岡修造さん=2014年11月、川村直子撮影 出典: 朝日新聞
強い精神力の土台となるのが頑強な体だ。圭に理解してもらいたいのは、試合でのプレーは練習の濃密さが投影されること。練習を軽く流して試合で力を発揮するのは難しい。圭のテニス人生のゴールが世界17位とか、トップ50にいることなら、僕は必要ない。でも、圭のゴールはもっと上にある。それを後押ししたい。
2013年12月27日:錦織に全仏王者の教え コーチにマイケル・チャン氏 テニス:朝日新聞
錦織の4シーズンのデータ
               2011   2012   2013   2014
勝敗           36勝22敗 37勝18敗 36勝19敗 54勝14敗
年間世界ランキング       25位    19位    17位     5位
ポイント獲得率         50%    52%    52%    52%
サービスエースの本数      137    133    140    286
第1サーブの確率        61%    64%    63%    60%
第1サーブのポイント獲得率   68%    69%    69%    73%
サービスゲームのキープ率    77%    78%    78%    84%
ブレークポイント阻止率     60%    59%    57%    64%
リターンゲームの奪取率     25%    31%    30%    28%
錦織圭、飛躍の方程式 世界5位、数字が語る テニス:朝日新聞デジタル
 今はトップ選手6~7人の壁は分厚い。技術だけでなく、フィジカルが強い。昔と違い、10代の若手が割って入るのが想像しにくい。スポーツ医科学の進歩で、経験豊富なベテランが大きなケガをしても復帰できるようにもなった。
 でも、圭は気後れしてはいけない。尊敬するフェデラー(スイス)であっても、コートの上では、自分の行く手を阻む邪魔な存在でしかないのだ。
2013年12月27日:錦織に全仏王者の教え コーチにマイケル・チャン氏 テニス:朝日新聞

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