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錦織とチャン氏、鉄壁の師弟関係 「ほかの選手の依頼なら断った」
錦織圭選手を支えるコーチのマイケル・チャン氏。「ほかの選手からの依頼なら断った」というチャン氏と、錦織選手は鉄壁の絆を誇ります。

日本勢過去最高、第4シードで全米オープンに挑む錦織圭選手。トップ選手になるきっかけを作ったのが、4大大会の男子シングルス最年少優勝記録(17歳3カ月)をもつコーチのマイケル・チャン氏です。2013年から、精神面だけでなく技術面でも指導をしています。コーチ就任時「ほかの選手からの依頼なら断った」と語ったチャン氏を、錦織選手も「世界のトップ3のコーチに入る」と絶賛。2人は鉄壁の絆を誇ります。
「自分の時間を割く意義を感じた」
「圭のコーチを引き受けたのは、自分の時間を割く意義をすごく感じたから」
コーチ就任時、チャン氏は錦織選手について「圭のサーブはまだまだ改善できる。圭の身長は高くないけど、少なくとも僕よりは大きい」と評しました。
錦織選手は、チャン氏の指導について「一番感謝(かんしゃ)したいのは、自分のテニスをすれば、どんな選手にも通じると信じさせてくれたこと」と語っています。

身長のハンデ、俊敏さで補う
それまで錦織選手は、テニスの技術、戦術の面では自己流を大切にしてきました。錦織選手がチャン氏に当初期待していた役割は、精神面のアドバイザーでした。ところが、チャン氏の指導は技術面にも及びました。
世界で活躍する選手の多くは180センチ台後半か、それ以上です。身長178センチの錦織選手と、175センチのチャン氏。背が低いハンディを俊敏さで補うテニスは2人に共通しています。小柄ながら、世界の頂点で渡り合ったチャン氏は、サーブのトスの位置から肉体のメンテナンスに至るまで徹底して教えこみました。
そんなチャン氏の指導について、錦織選手も信頼を寄せています。「押しつけじゃなく、一つひとつ丁寧に論理的に説明してくれるし、実際に言われたとおりに打ってみると、納得できることが多い」と語っています。

さらにこの2年間、中尾公一(なかおこういち)トレーナーと地道(じみち)に取り組んできた肉体強化(にくたいきょうか)も実(み)を結(むす)び、全米オープンの2週間では7試合を戦い抜(ぬ)く粘(ねば)りを見せた。
「少しは言います。でも、今のところ、ほとんど言い負かされている……。押しつけじゃなく、一つひとつ丁寧に論理的に説明してくれるし、実際に言われたとおりに打ってみると、納得できることが多い」
「圭のゴールはもっと上にある」
チャン氏はコーチ就任にあたって「圭のテニス人生のゴールが世界17位とか、トップ50にいることなら、僕は必要ない。でも、圭のゴールはもっと上にある。それを後押ししたい」と述べています。
言葉通り、錦織選手はみるみる成長します。2013年17位だった世界ランキングは、2014年5位に。成績も2013年36勝19敗だったのが、2014年は54勝14敗になりました。
「圭は気後れしてはいけない。尊敬するフェデラー(スイス)であっても、コートの上では、自分の行く手を阻む邪魔な存在でしかないのだ」と語るチャン氏。大舞台での錦織選手の活躍が期待されます。

2011 2012 2013 2014
勝敗 36勝22敗 37勝18敗 36勝19敗 54勝14敗
年間世界ランキング 25位 19位 17位 5位
ポイント獲得率 50% 52% 52% 52%
サービスエースの本数 137 133 140 286
第1サーブの確率 61% 64% 63% 60%
第1サーブのポイント獲得率 68% 69% 69% 73%
サービスゲームのキープ率 77% 78% 78% 84%
ブレークポイント阻止率 60% 59% 57% 64%
リターンゲームの奪取率 25% 31% 30% 28%
でも、圭は気後れしてはいけない。尊敬するフェデラー(スイス)であっても、コートの上では、自分の行く手を阻む邪魔な存在でしかないのだ。