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現存する「SL運転士」養成所 梅小路蒸気機関車館、43年歴史に幕
日本で最多の20両のSLがある京都市の梅小路蒸気機関車館が8月30日、閉館します。運転や修理の技能の受け継ぐ場としても重要な場所でした。
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日本で最多の20両のSLがある京都市の梅小路蒸気機関車館が8月30日、閉館します。運転や修理の技能の受け継ぐ場としても重要な場所でした。
日本で最多の20両の蒸気機関車(SL)がある京都市の梅小路蒸気機関車館が8月30日、閉館します。展示だけでなく、運転や修理の技能の受け継ぐ場としても重要な場所でした。扇形車庫は現存する日本最古の鉄筋コンクリート製車庫で国の重要文化財にも指定されています。梅小路蒸気機関車館は施設を改修した上で、隣接地に建設中の京都鉄道博物館の一部として来年春に開業する予定です。
梅小路蒸気機関車館は、鉄道開業100年を記念して1972年10月にオープンしました。D51(デゴイチ)など20両を保存、14両を展示しています。実際に動く「動態保存」されている車両が8両もあり、「SLの殿堂」といわれています。
展示だけでなく、修理や運転士の養成も担っています。検修班が定期検査や修理を担当しています。部品の多くは既に製造中止で、調達するのも簡単ではありません。検修班がメーカーと何度も折衝を重ね、新品を作ってもらうことも少なくありません。中には1千万円以上かかる修理もあります。
実は、京都は鉄道と縁が深い街です。日本で初めて電車が走ったのは京都でした。1895年、京都電気鉄道株式会社が日本で初めて電車営業を始めました。電車は車内の連絡用のベルの音や、「警鈴(けいりん)」の音から「チンチン電車」と呼ばれていました。
インクライン(傾斜鉄道)という珍しい鉄道もありました。琵琶湖から京都に水を引く「琵琶湖疏水」の、特に高低差の大きい区間で、舟を台車に載せて運んだのがインクラインでした。当初は水車動力の設計でしたが、水力発電所が完成すると電力を使う設計に変更されました。
梅小路蒸気機関車館は、来年春に京都鉄道博物館として生まれ変わります。JR西日本は、蒸気機関車(SL)の解体検査などを行う専用の施設(検修庫)を新設する予定です。来年の秋にも完成予定で、京都鉄道博物館とはデッキで結ばれます。
SLは観光や地域活性化で人気が高く、今後も安定的にSLを保存する体制が求められていました。整備の技術を若手整備士に継承する場としても活用します。「日本のSL保存の拠点」として、将来は作業風景の見学もできるようになる予定です。
開業から今年1月末までに約830万人が訪れた「梅小路蒸気機関車館」。京都鉄道博物館周辺には新駅もできる予定で、「SLの殿堂」として、ますます人気を集めそうです。
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