地元
伝説の「秘境駅」ついに廃止へ…鉄道ファン悲報 映画の舞台も見納め
鉄道各社で利用者の少ない駅や路線の廃止が相次いでいます。背景には「三島会社」の赤字問題がありました。
地元
鉄道各社で利用者の少ない駅や路線の廃止が相次いでいます。背景には「三島会社」の赤字問題がありました。
鉄道各社で利用者の少ない駅や路線の廃止が相次いでいます。断崖にはさまれた「秘境駅」や、高倉健さんの映画の舞台になった駅など、鉄道ファンに人気の場所も少なくありません。背景には、JR北海道・四国・九州の「三島会社」の赤字問題があります。九州では、ついに新幹線ホームの無人化まで登場しています。
JR北海道が今月、JR留萌線(深川―増毛、66.8キロ)のうち、利用者が特に少ない留萌―増毛間(16.7キロ)を、来年度中にも廃止する方針を示しました。
同社によると、この区間は1921年に開業。終着の増毛駅(北海道増毛町)は、昨年11月に亡くなった高倉健さん主演の映画「駅 STATION」(1981年)の舞台として知られ、ファンらに人気があります。
ただ、普段の利用者は少なく、年間1億6千万円以上の赤字になっているということです。沿線では高速道路の整備も進んでいることから、JR側は今月、廃止方針を地元に示しました。
JR北海道は昨年5月に、江差線の木古内―江差間(42.1キロ)を廃止。今年10月末には、「秘境駅」として人気がある室蘭線の小幌駅(北海道豊浦町)を廃止する方針です。
もっとも、小幌駅は断崖を貫く2本のトンネルに挟まれ、列車以外でたどり着くことが難しい場所にあります。近くの集落はすでになくなっており、利用者への影響は少ないようです。
同社はこのほか、北見市などでも駅の廃止を検討しています。
JR九州は、今春のダイヤ改定から、在来線の32駅を新たに無人化しました。同社はすでに、九州新幹線の新玉名駅(熊本県玉名市)のホームについても、10月から無人化することを決めています。新幹線の駅のホーム無人化は、全国で初めてです。
路線や駅の廃止が相次ぐ背景には、人口減少が続く中、JR北海道、四国、九州のいわゆる「三島会社」の経営が厳しさを増しているという事情があります。
特にJR北海道は、事故や不祥事が相次いだことから、安全対策が急務です。第三者機関の「JR北海道再生推進会議」は、利用者が少ない赤字路線の廃止を含めた提言をまとめ、札沼線や石勝線、留萌線など7路線8線区を例示しています。
一方、JR九州は来年秋の株式上場を控えおり、赤字が続く鉄道事業の収支改善が急務となっています。
JR東日本は昨年、2010年の土砂崩落で運休していた岩手県の岩泉線の茂市―岩泉間(38.4キロ)を廃止しました。費用をかけて復旧しても、沿線人口の減少などで採算は厳しく、説明によって地元の理解を得られたと判断しました。
一方、今年1月に高波被害を受けたJR日高線(北海道)でも、鵡川―様似間の運休が続いています。こちらも採算は厳しく、復旧費用の負担を巡って行政とJR北海道側の溝が埋まらないことから、廃止が現実味を帯びています。
1/19枚