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中国トップ女優、卵子凍結を公表 「格好いい!」「庶民は無理…」
中国のトップ女優、徐静蕾(シュー・ジンレイ)さんが、卵子を凍結したことを公表。ネットで波紋を呼んでいます。
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中国のトップ女優、徐静蕾(シュー・ジンレイ)さんが、卵子を凍結したことを公表。ネットで波紋を呼んでいます。
生殖医療は、経済成長が続く中国でも注目されています。最近、女優で映画監督でもある、徐静蕾(シュー・ジンレイ)さんが、渡米して9個の卵子を凍結したことを雑誌『Vista看天下』で公表。ネットでは「真似したら後悔するぞ」「選択肢が増えて素晴らしい」など、様々な議論を呼んでいます。トップ女優がなぜ、私生活を公にしたのか。そこには中国でも増えつつある晩婚事情がありました。
1974年生まれの徐静蕾さんは、『見知らぬ女からの手紙』(2004)、『男たちの誓い』(2007)、『新宿インシデント』(2009)などで日本での公開作品も少なくありません。章子怡(チャン・ツィイー)、趙薇(ヴィッキー・チャオ)、周迅(ジョウ・シュン)と共に四小名旦と呼ばれています。また、映画監督としても活躍しており、スペインの映画祭などで最優秀監督賞を受賞しています。
一方、徐さんは、独身主義を貫き、恋人はいるものの、結婚・出産とは距離を置いていることを明言しています。そんな徐さんは、今年の6月に雑誌『Vista看天下』のインタビューで、2013年にアメリカで9個の卵子を凍結したことを明かしました。
徐さんは、インタビュー時も、子どもを産みたいと思わないと述べる一方、将来、母親になりたいと思った時に「選択肢」を残したと明かしています。
徐さんは、なぜ、極めて個人的な情報である卵子凍結を公表したのでしょうか。そこには、卵子凍結によって、女性の人生の選択肢を増やすことができるという、メッセージが含まれていました。
インタビューで徐さんは次のように語っています。「私は卵子凍結をいいことだと思い、それをシェアしたかったのです。賛成しない人もいますが、同年代の友人には、私のすすめで手術をした人もいました」。
徐さんの微博のコメント欄には、「アンジ(アンジェリーナ・ジョリー)の乳房切除が多くの女性に影響を与えたように、(徐さんの行動は)とても有意義なことだ」というコメントが送られました。
徐さんの卵子凍結発表を受け、米国留学経験を持つ女優の葉璇さんも、3年前に2回も卵子取り出し凍結の手術を受けたことを公表しました。卵子凍結は「女性を解放する正真正銘の科学技術だ」と自身の微博で書いています。
2014年『広州日報』の報道によると、世界では卵子凍結で出産した事例は200例ありますが、中国では30以下にとどまっています。中国の法律では、卵子を凍結する際には、結婚証明書、身分証明書と出産許可書(準生証)の三つの証明書が必要です。卵子凍結は、不妊治療の一環として夫婦しか受けられない生殖補助技術にあたるためです。
そのため、徐さんのように、独身女性が卵子を保存するには、アメリカやマレーシアに赴き、処置をするケースが多いと言われています。アメリカのEFC (Egg Freezing Center) で卵子凍結する場合、初期は平均で13,400ドル(現在の為替で約160万円)がかかります。交通・滞在費用などを考えると、独身女性で卵子凍結ができるのは、富裕層や有名人に限られているのが現状です。
日本の場合、日本生殖医学会が2013年8月にガイドラインを制定し、未婚女性の卵子の凍結保存も認めました。実施しているクリニック数も少なくありません。費用は保険適用外で、約100万円がかかりますが、海外渡航などは必要ありません。
フェイスブックやアップル社では、女性社員の卵子凍結に対し、一人あたりで最大2万ドルの資金援助策が打ち出されています。
徐さんの卵子凍結については、微博などで活発な議論が起きました。
賛成派の意見は次のような声を寄せました。
「女性の選択権の一つで、自分らしく生きられる」
「格好いい」
「お金があれば凍結をしてみたい」
「生き方に自信を持っている!永遠の女神」
「経済的に自立した女性。感心しました!」
一方で反対の意見も多数、投稿されました。
「39歳に凍結しても遅すぎるような気がする」
「金持ちの気まぐれだ。我らの庶民には無理だ」
「昔は映画撮影で話題を呼んだが、現在はこれしかないのか」
「土壌(子宮機能)が悪くなると、種をまいても仕方ないのでは?」
「うちのお父さんは年取ってから私が産まれた。親子の年の差が大きすぎることをいいと思いません。子どもの気持ちも考えてほしいです」
妊娠や出産は日本の女性、特に働く女性にとって関心の高い話題です。経済発展とともに中国では女性の社会進出も進んでいます。一人っ子の世代が親になる中、従来とは違う価値観を持つ人も増えています。卵子凍結は、女性の選択肢を広げる話題として、切実に感じる人が少なくなかったようです。
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