話題
風営法の改正でフジロックどうなる? 六本木のクラブは壊滅の懸念も
風営法が改正され、来年から夜通しのクラブ営業も可能に。その一方、フジロックなどの音楽フェスやライブハウスへの規制強化につながる懸念もでています。論点をまとめました。
話題
風営法が改正され、来年から夜通しのクラブ営業も可能に。その一方、フジロックなどの音楽フェスやライブハウスへの規制強化につながる懸念もでています。論点をまとめました。
改正風営法には「地域規制」の問題もあります。従来の風営法では、クラブの営業は原則午前0時までに制限され、各自治体の条例によっては最長午前1時まで許されてきました。改正法では条件を満たせば朝まで営業できますが、クラブがある地域の条例次第で、事実上の規制強化になる可能性も浮上しています。
衆議院では、ダンス議連事務局長の秋元司議員(自民)が「今回の法改正が行われると、営業できなくなってしまう地域が出てくるのではないのかと、業界の皆さんから心配の声が出てきている」と質問。警察庁の辻局長は「午前1時まで営業できる『営業延長許容地域』は大規模な繁華街等が条例で指定されており、こうした地域が営業所設置許容地域の指定に際しても参考になると考えている」と答弁しました。
営業延長許容地域は大規模繁華街に限られています。現状では繁華街以外で営業しているクラブも多く、これらの店は許可の取得ができずに廃業に追い込まれる恐れがあります。
クラブが集中する東京・六本木では、特定遊興飲食店にくら替えできないおそれのある店が多数あります。六本木のクラブなどでつくる「六本木セーフティー・アソシエーション」の調査によれば、くら替えが可能なのは加盟クラブ9店のうち1店舗のみ。現在、風俗営業の許可を持っている店でも、やはり5店舗中1店舗しか特定遊興の許可を取得できないといいます。
警察庁の答弁の通りにエリア選定が進むと、六本木のクラブは壊滅状態に陥りかねません。六本木でサルサクラブを営む田中雅史さんは「六本木では主だったクラブの8~9割が特定遊興の許可がとれず、サルサクラブも3店が許可のとれない地域にある。移転しようにも、六本木には適した立地がなかなかない」と危機感を募らせます。
「遊興」と「地域規制」という大きな問題点を抱えつつも、改正風営法は6月17日に参院本会議で可決・成立しました。参院では、この法律の運用にあたって「表現の自由、営業の自由等憲法等で保障されている基本的人権に配慮し、職権が濫用されることのないよう十分留意すること」との付帯決議が採択されました。
山谷えり子国家公安委員長は衆院で「ダンス文化の振興、そしてまたナイトライフの充実を求める国民の声というのは高まってきており、そのために今の審議をしている」「ナイトライフの充実やダンス文化の振興を求める国民の声、精神も考えながら、適切に運用していくことが大事だと考えております」と答弁しました。
規制がダンス以外の様々なジャンルに飛び火し、ナイトカルチャー全般の活力がそがれるようでは法改正の趣旨に反します。「踊れない国」から「遊べない国」になってしまっては本末転倒です。クラブ事業者や音楽関係の業界団体は、運用基準や条例レベルでの規制緩和をめざし、すでにロビー活動に動き出しています。