IT・科学
ロボットまとう女子、きゅんくん 異色クリエイターに企業が急接近
削りだしのアルミがにぶく光り、モーター音が響く。きゅんくんは、ファッションとしてのロボットを世に問う異色のクリエイターです。
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削りだしのアルミがにぶく光り、モーター音が響く。きゅんくんは、ファッションとしてのロボットを世に問う異色のクリエイターです。
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ファッションモデルのような服に、なぜか背中にはロボットアーム。削りだしのアルミの艶がにぶく光り、モーター音が妖しく響く。きゅんくんは、ファッションとしてのロボットを世に問う、異色のクリエイターです。機能だけではないロボットの魅力を発信している彼女。企業が研究リーダーに抜擢するなど、注目を集めています。
2015年7月、東京・港区であったファッションとIT、2つの業界によるコラボイベント「デコーデッド・ファッション」。流行最前線の服に身をつつんだ業界人の中、ひときわ目を引く女子がいました。ウェアラブルロボットをまとった、きゅんくんです。
機械工学を学ぶ大学3年生ですが、ファッションとしてのロボットに注目。独自のセンスで作品を発表しています。
2015年3月、米テキサス州オースティンであったIT企業が一堂に集まる「サウス・バイ・サウスウエスト(S×SW)」。ツイッターが世に出るきっかにもなった世界的イベントで、ウェアラブルアームロボット「Metcalf」を発表し、一気に注目を集めました。
「機械とかロボットを服にしようと思って、『ロボティクスファッション』と名付けた。それを作る人なので、私はロボティクスファッションクリエーターです」
そう語る、きゅんくん。「機能、スペックでロボットをとらえていません」と言い切ります。
「例えばSF映画では、ファッションとしてのロボットがたくさん生まれているのに、現実の世界にはいない。それはおかしい。だから、二次元を三次元にしていきたい」
クールな表情で当たり前のようにロボットを着こなす、きゅんくん。その発想の新しさから、電通グループのシステム開発会社、電通国際情報サービス
のオープンイノベーションラボロボティニティ・テクノロジストに抜擢されました。
同社の鈴木淳一さんは「例えば、アップルウォッチだと蛇柄なんかもリアルに再現できる。そういうスペックとは別次元のところに、ファッション業界が反応しています。きゅんくんのような、新しいクリエイターの感性への期待は大きい」と話します。
まずは、海外への情報発信などの場面で、きゅんくんのセンスを生かしたサービスを展開していくそうです。
「メディアや企業から注目されているのは、運がいいなあって思います」と、きゅんくん。「でも、ロボットのデザインに興味を持っている人はたくさんいるはず。なのに、アカデミックの世界で語られるのは機能ばかり。私が求められているは、そういうところなんだと思います」
ロボットアームはアルミの削りだし。マイクロコンピューター「アルディーノ」によって制御され、プログラミングされた動きを再現します。イベントでは、名だたるファッション雑誌が取材の列を作り、背中のロボットアームのバッテリーが切れそうになる場面も。
「アルミが好き。むき出しの、この製作の跡……そんな工学系が『きゅんきゅん』するポイントが、世界に広まってほしい」