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お金と仕事

出しっ放し掃除機の発想力 普段は空気清浄機 「出すのが面倒」形に

三菱電機の掃除機「インスティック」は部屋に出しっ放しにできるコンセプトが話題になっています。誕生までには、綿密なマーケティングがありました。

出しっ放しにできる掃除機「iNSTICK(インスティック)」を開発した三菱電機の四津谷瞳さん
出しっ放しにできる掃除機「iNSTICK(インスティック)」を開発した三菱電機の四津谷瞳さん

目次

 三菱電機が3月に発売した掃除機「iNSTICK(インスティック)」(実勢価格5万円から6万円)は、使わない時は空気清浄機になるという斬新なアイデアで売れ行きが好調です。ロボット型やデザイン家電などライバル相手に、家電メーカーとして何ができるか。「掃除機の性能=吸引力」という先入観をリセットし、掃除が嫌いな人の気持ちを調査。綿密なマーケティングの結果、「出しっ放し」というスタイルに行き着きました。

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使いたくない家電「掃除機」

 「インスティック」は、スティックタイプのコードレス掃除機です。見た目は、商品名通り、スティックそのものです。よく見ると、掃除機の持ち手が埋め込まれており、取り外すとコードレス掃除機になります。空気清浄機としての機能もついています。つまり、出しっ放しを前提にした掃除機なのです。

 掃除機と空気清浄機を合体させるにあたって大切にしたのが、ユーザーの掃除に対する苦手意識です。従来、家電メーカーでは吸引力や音の静かさなどが、重視されていました。「インスティック」では、これまでの発想を一回、リセットし、掃除をする時の気持ちに絞って調査をしました。

 その結果、掃除機は使いたくない家電のナンバー1であることが判明。使いたくない理由として「掃除機を出すのが面倒」をあげる人が最も多いことがわかりました。

一見、掃除機には見えない「インスティック」。空気清浄機の機能もついている
一見、掃除機には見えない「インスティック」。空気清浄機の機能もついている

「出すのが面倒」だから「出しっ放し」

 最近の掃除機市場には、ロボット型やデザイン家電など、様々なタイプの製品が出ています。開発を担当したデザイン研究所ホームシステムデザイン部の四津谷瞳さんは「ユーザーの選択肢が増えている中、家電メーカーとして何ができるか考えました」と振り返ります。

 行き着いたのが、ユーザーの生活スタイルに寄り添いつつも、家電メーカーとしてのたしかな技術力で勝負できる商品でした。技術部門と連絡を密に取り合いながら、「出すのが面倒」という声に答えたのが「出しっ放し」の「インスティック」でした。

取り外すとスティック型の掃除機になる「インスティック」
取り外すとスティック型の掃除機になる「インスティック」

家電メーカーの技術力フル活用

 「今のユーザーには自分がいらないもの、欲しいものを見極める力がある」と四津谷さん。「出しっ放し」を形にするため、家電メーカーとしての技術力をフル活用して空気清浄機と合体させました。細長いスティックに合うようなフィルターを開発、インテリアにも馴染むよう、スイッチ類に文字は極力使わず、アイコンで表示しています。

 ツイッターでは、「打倒ダイソンの大本命」「素晴らしきプロセスイノベーション」など、反響の投稿が相次ぎました。「インスティック」は、当初販売計画の月5000台に対し約1.5倍の実績になっています



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