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消えゆく「HB」鉛筆 学校の主流は「2B」に トップ交代の理由
「基準となる鉛筆」とされているHBのシェアが低下しています。トップの座を奪ったのは2Bです
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「基準となる鉛筆」とされているHBのシェアが低下しています。トップの座を奪ったのは2Bです
「基準となる鉛筆」とされている「HB」のシェアが低下しています。20年ほど前は全体の半数ほどを占めて首位だったのが、今では2~3割にまで下がり、より芯が柔らかい「2B」がトップに。理由のひとつとして、子どもの筆圧が下がっていることが挙げられています。
鉛筆のシェアの大部分は「三菱鉛筆」と「トンボ鉛筆」の2社が占めています。トンボ鉛筆によると、1999年と2014年で比較した場合、HBは44%から31%に下がり、2Bは22%から37%に増えました。三菱鉛筆の場合は1994年と2014年を比較して、HBは5割から2割に減り、2Bは2割から4割に増えているので、ほぼ同じ傾向であることがわかります。
そもそも、HBと2Bは何が違うのでしょうか? 鉛筆のJIS規格は、芯の硬さに応じて17種類が規定されています。芯が柔らかいものから順に6B、5B、4B、3B、2B、B、HB、F、H、2H、3H、4H、5H、6H、7H、8H、9Hとなります。柔らかいほど字が太く濃くなり、硬いほど折れにくくシャープな線をひくことができます。三菱鉛筆ではJIS規格とは別に、10Hから10Bまで22種類のラインナップをそろえています。
Bは「ブラック=黒い」、Hは「ハード=かたい」の略です。中心にあるFは「ファーム=しっかりした」で、HとHBの中間の濃さと硬さとして作られた比較的新しい規格です。Fよりも古くからあるHBは、その名前からも明らかなように濃さと硬さの中間として「基準になる鉛筆」と位置づけられてきました。戦時中は「中庸」と呼ばれ、現在も選挙の記名やマークシート式のテストではHBが主に使われています。
なぜ、鉛筆の主流はHBから2Bへと変わったのか? その理由のひとつとして、鉛筆を主に使う小学校での変化があります。入学時に「2BもしくはB」と指定する学校が増えているのです。
文部科学省によると、使用する鉛筆の硬度について指定や推奨はしておらず、「教育委員会や学校が個別に行っているのでは」とのことでした。
ホームページ上で「2BまたはB」と指定している小学校に取材したところ、「児童の筆圧が下がっていて、字を丁寧に書く子が増えている」ことを理由に挙げました。実際、三菱鉛筆が実施したアンケート結果によると、感触として濃く書ける鉛筆の方が評価が高いそうです。今どきの子どもたちにとっては、HBよりも2Bの方が使いやすいと受け止められているようです。
三菱鉛筆の広報担当・神崎由依子さんは「入学時に2Bの鉛筆を購入し、そのまま高学年になってからも使い続ける人が増えているのではないでしょうか」と話します。
書きごごちは、芯の硬度や筆圧だけでなく、温度や湿度、どんな紙に書くかといった条件次第で変わってきます。気温が高い沖縄県や、硬筆書写が盛んな埼玉県では、昔から芯が柔らかい鉛筆が好まれるなど地域差もあるそうです。
三菱鉛筆やトンボ鉛筆では、多くの商品ラインナップをそろえることで、年齢や使用状況に応じた使い分けを提案しています。
主役がHBから2Bに交代したことについて、メーカー側はどう考えているのか? トンボ鉛筆の広報担当者はこう話します。
「鉛筆の出荷量が減った背景には、銀行や役所、オフィスなどで使う機会が減ったことがあります。つまり、相対的に教育現場が中心となってきたために、HBから2Bへ移行しているのです。これからも鉛筆が『子どもたちが最初に触れる筆記用具』でありつづけるために、使う側のニーズに合わせた良質な鉛筆を作り続けていきたいと思います」
子ども時代にHBに慣れ親しんだ世代にとっては驚くべき変化ですが、時代の流れに適用した結果のようです。
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