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真央復帰、ファンも気合 お金・体力…五輪なら観戦費100万円も

浅田真央選手の現役復帰会見から1か月。ファンの楽しみは増す一方です。しかし、それは金・体力・気合が必要なスケオタロードの幕開けでもあります。

記者会見で現役続行を表明した浅田真央=2015年5月18日、東京都港区、諫山卓弥撮影
記者会見で現役続行を表明した浅田真央=2015年5月18日、東京都港区、諫山卓弥撮影 出典: 朝日新聞

目次

 フィギュアスケートの浅田真央選手の現役復帰会見から1か月、グランプリシリーズ参戦も発表されました。真央ファンにとって、楽しみは増す一方です。しかし、浮かれてばかりはいれられません。五輪出場なら100万円が吹っ飛ぶという観戦費、早朝練習から付き合う体力などなど。ハードなスケオタロードの幕が開いてしまったのです。

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待ち受ける様々なミッション

 「気が引き締まる思い」。そう話すのは10年来の真央ファンである都内在住の会社員Kさん(40代)。チケットやホテルの確保、海外遠征など、熱心なファンが歩む「スケオタロード」にはさまざまなミッションが待ち受けています。

 熱狂的なファンを持つ高橋大輔選手も2011年世界選手権後に現役続行を宣言し、ソチ五輪で6位入賞を果たしました。フィギュアスケート人気が高まる中、過酷な「スケオタロード」を走り終えた「大ちゃんファン」の女性陣にスケオタの心得を聞いてみました。

2012年世界国別対抗戦の男子フリーで演技する高橋大輔
2012年世界国別対抗戦の男子フリーで演技する高橋大輔

「気づいたら銀行口座の残高がマイナスに」

 「スケオタに必要なのは気力・体力・財力」と、都内在住の会社員Oさん(30代)は語ります。

■同じショー何度でも
 まずは財力。「フィギュアスケート選手はお金がかかる」と言われますが、それはファンも同じです。チケット代については、試合で7千~1万2千円(14年全日本選手権)、アイスショーの氷上席では2万円を超えます。数日間にわたるショーを同じ日の昼と夜の2回、連日見るのもスケオタにとって珍しいことではありません。このほかに交通費、宿泊費、リンクへ投げ込む花束やプレゼント代などを含めると、1回の国内観戦で10万円を超えることもあります。米国や欧州への観戦なら、さらに費用がかかります。

■他の趣味はやめた
 都内在住の会社員Mさん(40代)は「年間150万使った年もあった。気づいたら銀行口座の残高がマイナスになっていたことも」と言います。特に五輪があるシーズンは支出が増加。ソチにも遠征したMさんは、仕事のため一時帰国し、2度渡航。五輪観戦だけで117万円かかったそうです。他の趣味をやめるなどし、収入は観戦費に充てています。

■貯金もギアチェンジ
 五輪貯金をした人もいます。千葉市のパートFさん(50代)は、「ソチ五輪に向け、毎月の手取りの3分の1を貯金。途中から2分の1にギアチェンジしました」。4年間で総額96万円を貯め、五輪シーズンは当時大学生と高校生の娘2人を育てながらスケートの遠征費を捻出しました。

Mさんが2006年以降、国内外で観戦したチケット。高橋大輔さんが出演していない試合やアイスショーも見に行っている
Mさんが2006年以降、国内外で観戦したチケット。高橋大輔さんが出演していない試合やアイスショーも見に行っている

早朝から練習見学、仮眠して試合観戦へ

 次は体力です。スケオタの朝は早く、夜も遅いと言われます。試合で早朝の公式練習を見られることがあります。そのために午前5時に起きて会場へ、昼前に早朝練習が終わればホテルで数時間仮眠をとり、午後から再び試合を見に行くこともあります。まるで選手と同じような生活を送っています。

■気づけば朝から深夜まで
 試合が午後11時頃まであったり、たとえ午後8時頃に終わっても、その後ファン同士の交流があったりと、気づけば朝から深夜までスケート漬けに。せっかく遠征しても観光することなく帰路につくこともあります。

■トークショーのため遠征
 ほかにも、チケットを事前に手に入れられなかったときは、真夏日であろうが、大雪であろうが、わずかな望みをかけて当日券の窓口に並んだり、高橋さんのトークショーに参加するために、開催日とは別の日に、整理券をとるためだけに遠征したり。出費を抑えるために夜行バスや夜行列車を使うことも苦ではないのです。

■月曜に帰国、そのまま仕事
 体調管理にも気をつかいます。平日に仕事があると、観戦は強行スケジュールになりがちです。Kさんは「土日に観戦するために、金曜の夜行便で出国したり、月曜の早朝に帰国して仕事に行ったりしたこともあった」といい、「観戦で休みをもらっているので、それ以外の日に体調不良で休むことなんてできない」と話します。

「D1SK」のロゴ入り応援グッズ。タオルは毎年色違いが販売される。チケットホルダーやカイロ、ブランケットなども
「D1SK」のロゴ入り応援グッズ。タオルは毎年色違いが販売される。チケットホルダーやカイロ、ブランケットなども

「行かない後悔はあるけど、行って後悔はない」

 最後は「気力」です。選手を応援したいという気持ちがあれば、どんなつらいことも乗り越える原動力になります。

■ロシア語やフランス語しか通じない場所も
 海外に行くなら英語は必須、ロシア語やフランス語しか通じない場所に行くことも。「ホテルがとれない」「チケットがとれない」「遠征しても選手が欠場で寂しさに耐えられなくなる」など様々な経験を乗り越えてきています。

■「友達もできるし、世界が広がる」
 都内在住の会社員Wさん(50代)は「遠征先で友達もできるし、世界が広がる。経済的なこと、仕事や家庭、体力など、それぞれ事情はあるけれど、何があっても応援したいという気持ちも大事」、Oさんも「自分にできる精いっぱいの応援を」と話します。Fさんは「行かない後悔はあるけど、行って後悔はない」。

ソチ五輪のために作ったロシア語で書かれた応援旗(右)と、2枚のタオルを組み合わせた特製の応援タオル。高橋大輔さんのロゴ「D1SK」が入っている
ソチ五輪のために作ったロシア語で書かれた応援旗(右)と、2枚のタオルを組み合わせた特製の応援タオル。高橋大輔さんのロゴ「D1SK」が入っている

「1戦、1戦を大事に応援して」

 大ちゃんファンが強調していたのは「1戦、1戦を大事に応援する」ということ。お金も時間も、そして情熱を注いだ以上のものが返ってくる――。7月に開幕するシーズンに向けて、選手だけでなくファンの戦いも始まっている。

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