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恥ずかしい人生訓も猫で中和! 大人気「般ニャ心経」が心にしみる

動物をテーマにした名言集が人気です。最近では「般若心経」と猫を組み合わせた本がベストセラーに。なぜ人は動物名言本にひきつけられるのでしょう?

8刷6万部を記録した、加藤朝胤さん監修「ラク~に生きるヒントが見つかる 般ニャ心経」(リベラル社)
8刷6万部を記録した、加藤朝胤さん監修「ラク~に生きるヒントが見つかる 般ニャ心経」(リベラル社)

目次

 猫や犬など動物をテーマにした名言集が人気です。最近では、「般若心経」と猫を組み合わせた本がベストセラーに。なぜ、人は動物名言本にひきつけられるのでしょうか? そこには、「いかにもそう見える」という擬人化しやすい存在感があるようです。

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8刷6万部を記録

 猫名言本の最新ベストセラーは加藤朝胤さん監修による「ラク~に生きるヒントが見つかる 般ニャ心経」(リベラル社)です。8刷6万部を記録しています。

 精神科医の斎藤環さんは「般ニャ心経」を取り上げた2015年6月7日の朝日新聞書評欄でこう語っています。

 「実は、猫には『表情』がない。しかし身体を使った『表出』は豊富だ。前脚を手のように使うあたりも擬人化しやすい。つまり猫の写真は、心理検査の投影法のように、さまざまな意味を読み込めるイメージの宝庫なのだ。ネットが猫画像であふれるはずである」

寺の大門にある桜の木からおりる猫=2005年11月、和歌山県岩出町
寺の大門にある桜の木からおりる猫=2005年11月、和歌山県岩出町 出典: 朝日新聞

昨年のベストセラー2位も名言本

 動物名言本の元祖は水野敬也さんと長沼直樹さんによるベストセラー「人生はワンチャンス!」です。同じ著者たちによる「人生はニャンとかなる! 明日に幸福をまねく68の方法」は、2014年ベストセラー(2013年12月~2014年11月、日販調べ、総合部門)のランキングで2位に入る人気でした。

 この本、実は名言を壁に貼るのが恥ずかしい人がカモフラージュするという発想から生まれたそうです。

水野敬也、長沼直樹著『人生はニャンとかなる!』(文響社・1512円)
水野敬也、長沼直樹著『人生はニャンとかなる!』(文響社・1512円)
ルーツはおそらく、水野敬也氏らのベストセラー『人生はワンチャンス!』(2012年)や『人生はニャンとかなる!』(13年)だろう。水野氏のインタビューによれば、もともとは名言を壁に貼りたいのに他人に見られると恥ずかしいから動物の写真でカムフラージュする、という発想だったらしい。
(売れてる本)『ラク~に生きるヒントが見つかる 般ニャ心経』 加藤朝胤〈監修〉:朝日新聞デジタル

秀逸なタイトル、ストーリー仕立て

 「般ニャ心経」の絶妙なタイトルも見逃せません。自由な猫と生き方と、般若心経というしっかりした柱をうまく組み合わせています。本の内容も、「自分を見つめる」から始まり最後は「正しい道を歩んで行く」まで、ストーリー仕立てで作られています。

 斎藤さんは、動物名言本の進化形である「般ニャ心経」について、「順を追って読んでいくと、まるで幸福な世界を求める猫たちの冒険譚(ぼうけんたん)という趣もあり、ちょっと感動的ですらある。猫たちの忠実な下僕であるすべての愛猫家にとって、手放せない一冊になりそうだ」と絶賛。ベストセラーも納得の一冊になっています。

駅の待合室のテーブルに寝転がる猫=2010年6月19日、京都府舞鶴市のJR松尾寺駅
駅の待合室のテーブルに寝転がる猫=2010年6月19日、京都府舞鶴市のJR松尾寺駅 出典: 朝日新聞
 無論そればかりではない。本書の成功が第一にはこの秀逸すぎるタイトルによるとしても、その内容を単なる名言集ではなく、「般若心経」に一本化した点も良かった。何ものにもとらわれず、あるがままに、今ここを愉(たの)しく生きよ。この「無常」と「無我」の教えもまた、猫たちの自由な生き方にいかにも似つかわしく見える。加えてそこにはストーリーがあるのだ。
 順を追って読んでいくと、まるで幸福な世界を求める猫たちの冒険譚(ぼうけんたん)という趣もあり、ちょっと感動的ですらある。猫たちの忠実な下僕であるすべての愛猫家にとって、手放せない一冊になりそうだ。
(売れてる本)『ラク~に生きるヒントが見つかる 般ニャ心経』 加藤朝胤〈監修〉:朝日新聞デジタル

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