IT・科学
古代ギリシャ人、ネット社会予見? 炎上対策にアリストテレスの教え
ネットの炎上をどうやっておさめればいいのか。2300年前に書かれたアリストテレスの哲学書に、そのヒントがありました。
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ネットの炎上をどうやっておさめればいいのか。2300年前に書かれたアリストテレスの哲学書に、そのヒントがありました。
ネットの炎上、誹謗中傷は、いつ自分が当事者になるかわかりません。一度、燃え広がったネット上の攻撃をどうやっておさめればいいのか。ヒントは、2300年前に書かれた哲学書にありました。作家の高橋健太郎さんは、ギリシャ哲学者アリストテレスの「弁論術」には、現代人が身につけておくべき「防衛ライン」の心構えが書かれていると言います。
当然ですが、誹謗中傷の内容が事実ではない場合は、「事実ではない」と反論するのがベストです。高橋さんは「ただし、単に『ウソだ』『デタラメだ』とわめくだけでは、むしろ『図星を指されて、取り乱してる』と判断されない」と指摘します。大切なのは、周りの人が納得するような根拠です。
「私が取引先で彼の悪口を言って回るなどありえない。そもそも彼とは古い友人だし、一緒にプロジェクトもやっているから、彼の評判が悪くなれば私だって困る」などといった形で具体的な根拠を示して反論することが大切になります。
仮に誹謗中傷の内容が事実だとしたら……。「事実だが害があるようなことではない、というラインで反論することが可能です」と高橋さん。
具体的には「私が○○社に頻繁に出入りしているのは事実だ。ただ、それは我が社の情報を流すためなんかじゃない。これからはじまる大きなプロジェクトの打ち合わせのためだよ」などという言い方になります。
誹謗中傷の内容が、事実でしかも誰かの害になるような話だった場合はどうすればいいか。高橋さんは「害があるかもしれないがみなさんに対してではない、というラインで反論できる」と話します。
具体的には、「たしかに、私はかつて不倫をしていたし、それで妻を傷つけたこともある。ただ、それはプライベートな話だし、あなたがたにとやかく言われる問題じゃない」などという言い方になります。
誹謗中傷の内容が事実で、かつ非難する側に害がおよんだ時は? 正直、このくらいのラインから厳しくなってきますが 「そこまで非難されるほどの害はないはずだ」という「程度の問題」に落とし込んで、そこのラインで反論する方法があります。
「たしかに、私の企画したあのプロジェクトは赤字だった。ただし、それで会社の屋台骨がゆらぐなんてことはなかったはずだ」などという言い方ができます。
ここが、現実的な最終ライン。「そうはいっても、法律を破ったわけじゃない」と法律問題にすり替えたり、「やむを得ない事情があった」などと情状酌量を狙った言い方で反論したりします。
参考までに。いよいよとなれば、「横領といったって、たかが5万円じゃないか」といって開き直る方法もあります。ただ、そもそも違法行為を認めているので、やはり、ちょっと厳しいでしょう。「しかし、意外に耳にすることの多い言い分であることもたしかです」(高橋さん)という面も。
六つの防衛ラインの他に、注意点をひとつ。高橋さんによれば、途中で反論が苦しくなってラインを下げるのが、もっともNGなのだそう。だからこそ、初めに無理なく反論できそうなラインをしっかり決めておくことが大切です。