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姿消す…登下校時の「名札」 防犯優先、裏返せるヒット商品も

登下校時に名札をつけない児童が増えています。かつては登校から帰宅までつけているのが当たり前でしたが……。

昔はつけて当たり前だったのに……
昔はつけて当たり前だったのに…… 出典: 朝日新聞

目次


 登下校時に名札をつけない児童が増えています。かつては家を出てから帰宅するまでつけているのが当たり前でしたが、今では登下校時に裏返したり、学校に置いておき校内だけでつけたり。学校ごとに判断が分かれているようで、「防犯のためつけない」「名札をつけていなくても犯罪に巻き込まれる可能性はある」と、それぞれ考え方があるようです。

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名札を専用の箱にしまってから下校する学校もある
名札を専用の箱にしまってから下校する学校もある 出典: 朝日新聞

「つけない」と決めた学校

 東京・町田のある小学校。今年4月に配られた1年生向けの学年だよりで「登下校時、名札は名前が見えないよう裏に返してください。学校では名前が見えるようにします」と通知しました。

 埼玉県内のある小学校は、名札は学校に置いておき、登校したらすぐにつけて下校前に外す運用にしています。理由について教頭は「児童数が多いこともあり、校内では生徒同士が名前がわかるよう名札をつけます。登下校時については、名前が見えることで犯罪に巻き込まれるおそれがあるので外しています」と説明します。

 文部科学省によると、名札をつけるかどうかについては各学校ごとに判断していて、省として指導や通達はしていないそうです。それでも防犯意識の高まりから、つけない学校は増えているようです。

 警備サービス大手「セコム」のホームページ。子どもの防犯に関するコラムで、現状と対策について以下のよう触れています。

 私たちが子供の頃、とくに小学校低学年の間は、胸元に名札を付けて登下校していました。しかし今では、「子供の個人情報を漏らさないように」という配慮から、子供に名札を付けさせない、あるいは、登下校時には名札を裏返して付ける、といった対策を講じる小学校が増えています。防犯という観点からいえば、お子さんの名前を他人に知られないようにすることはとても大切です。
セコム「子どもの安全ブログ」

 対策として、帽子、ランドセル、上履き入れなど登下校中に持ち歩く物については、外から見えない部分に記名することや、名前の代わりに「自分の持ち物だと分かる目印」として○や☆といったマークをつけることを提案しています。

見えるところに名前を書く代わりにマークをつけることを提案
見えるところに名前を書く代わりにマークをつけることを提案 出典:セコム「子どもの安全ブログ」

「つける」ことを続けた学校

 一方、愛媛県のある小学校は、検討を重ねた上で着用を続けると決めました。

 昨年の1学期、保護者から「防犯上、登下校時に名札を外すことはできないか」と意見が出て、地区別懇談会で保護者の意見を聞いたり、教職員どうしでメリットやデメリットについて話し合ったりしたそうです。着用の継続を決めた理由は次のとおりです。

・着用することで本校児童としての自覚を育てる。
・朝の身だしなみの一つとして名札を着用し、1日を頑張ろうという気持ちをもたせる。
・名札を付けていようといまいと、犯罪に巻き込まれる可能性はある。名札を見なくても、友達が呼ぶ名前を聞いて声をかける可能性もある。

 校長は「大切なことは、犯罪に巻き込まれないよう注意すること、自分の命は自分で守る子供を育てていくことだと考え、続けることにしました。学校・保護者・地域が連携して、子供たちの安全確保に努めていければと思います」と話します。

ネット上の反応も様々

 つけるべきか、つけないべきか。ネット上の反応も様々です。




時代のニーズ捉えた新型名札

 そんななか、ちょっと変わった名札がヒットしています。大阪市の文具メーカー「西敬」が2006年に開発した「キッズ・ターナブル名札」です。

 安全ピンを外さずに、必要に応じて名札部分を裏返すことができる商品で、校内では名前を見せて、登下校中はひっくり返して隠すという使い方ができます。他社へのOEM生産も含めると、これまでに累計130万個を売り上げたヒット商品です。

130万個売れた「キッズ・ターナブル名札」。安全ピンを外さずにひっくり返せる
130万個売れた「キッズ・ターナブル名札」。安全ピンを外さずにひっくり返せる 出典: 左の画像は朝日新聞より、右は西敬提供

 もともとは、休憩中に名前を隠せる事務用名札を製造していましたが、防犯や個人情報保護への関心の高まりを受け、学校用名札に応用したそうです。今では小学生用だけでなく、幼稚園児向けに買う人も増えたといいます。

 西村宏之社長(55)はこう話します。「本来、名札は児童どうしが相手の名前がわかるようにしたり、万が一のときに血液型や連絡先などがわかるようにしたりするためのものです。時代に応じてニーズが変わっていくなかで、それに応えた商品として評価していただいたということだと思います」

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