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今井雅之さん死去 舞台で伝え続けた特攻隊 「クレージーではない」

今井雅之さんが亡くなりました。代表作は特攻隊員をテーマにした「THE WINDS OF GOD」。今井さんが伝えたかったこととは。

今井雅之さん=2003年10月15日
今井雅之さん=2003年10月15日 出典: 朝日新聞

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 がんを公表していた今井雅之さんが5月28日、亡くなりました。54歳でした。代表作は、売れない漫才師がタイムスリップして特攻隊員になる舞台「THE WINDS OF GOD」。スポンサー集めに苦労し、時に「好戦的」と批判もされながらも、死の直前まで公演を続けました。今井さんが「THE WINDS OF GOD」で伝えたかったこととは何だったのでしょうか。

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元自衛官の経歴、戦車操縦の経験も

 今井さんの父親は旧警察予備隊時代からの自衛官でした。今井さん自身も陸上自衛隊で74式戦車を操縦していたという経歴を持ちます。俳優志望でしたが、父親から「20歳まで自衛隊の任務が務まったら認める」と言われ入隊。約束通り1981年に陸自をやめ俳優養成所に入り、役者の道に進みます。

陸自隊員時代、今井雅之さんが操縦していた74式戦車
陸自隊員時代、今井雅之さんが操縦していた74式戦車 出典: 朝日新聞

「違う」思い直した特攻隊員像

 今井さんは最初、「国や天皇のために身をささげたスーパーマン」として特攻隊員を描こうとしました。しかし、東京・神田の古本屋に通い、生き残った隊員の話を聞くうち、「違う」と思い直しました。「ただ、愛する親きょうだいを守りたかっただけなんだ」。その驚きを台本にしました。

 1988年に初演を成功させ、その後、各地で公演を続けます。

「THE WINDS OF GOD」を原作、脚本、演出、主演した今井雅之さん=2011年10月12日
「THE WINDS OF GOD」を原作、脚本、演出、主演した今井雅之さん=2011年10月12日 出典: 朝日新聞

「生まれた時代を恨むしか…」

 舞台は漫才師がタイムスリップするところから始まります。

 《売れない漫才師の2人が交通事故に遭い、気が付くと、1945年8月1日の鹿児島の特攻基地にタイムスリップしていた。死に急ぐ特攻隊員たちに反発する2人だが、「家族を守るには仕方がない」「生まれた時代を恨むしかない」と話す隊員と心が通じ合う。終戦前日の早朝、自らも戦闘機で飛び立つ――》

「スタート」を叫ぶ今井雅之さん=2003年10月30日、豊岡市役所で
「スタート」を叫ぶ今井雅之さん=2003年10月30日、豊岡市役所で 出典: 朝日新聞

「隊員はクレージーではなかった」

 今井さんにとって特攻とは何だったのか。2005年6月10日、戦後60年を振り返る朝日新聞の記事では、次のように答えています。
 「国による非人道的作戦だが、隊員はクレージーではなかった。そんな普通の人間に特攻をさせた戦争こそが狂気なんだ」。

今井雅之さん=2003年10月16日
今井雅之さん=2003年10月16日 出典: 朝日新聞

「WINDSは自分の魂です」

 舞台「THE WINDS OF GOD」は1995年に映画化、1998、1999年にニューヨーク・オフブロードウェー公演。話題を集めながら「神風」「特攻隊」を取り上げることへの抵抗も強く感じ、2001年で終演しました。

 しかし、米同時多発テロを機に再演を決意。2005年から全国各地で公演を続けていました。病魔に冒されながらの出演は2015年4月まで続きました。降板を告げるブログには、こんな言葉がつづられていました。

 「今は治療を第一に、絶対に元気になり舞台に戻って参りたいと思っております! WINDSは自分の魂です」

今井雅之さん=2006年2月18日
今井雅之さん=2006年2月18日 出典: 朝日新聞

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