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車谷長吉さん死去 味のある人生相談 生徒に恋←仕事も家庭も失えば
車谷長吉さんは、朝日新聞で連載した「悩みのるつぼ」でのユニークな回答で、たびたび話題になりました。
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車谷長吉さんは、朝日新聞で連載した「悩みのるつぼ」でのユニークな回答で、たびたび話題になりました。
直木賞作家の車谷長吉(くるまたに・ちょうきつ)さんが、亡くなりました。69歳でした。車谷さんは、朝日新聞で連載した「悩みのるつぼ」でのユニークな回答で、たびたび話題になりました。「教え子の女子に没入しています」との相談には「破綻して、職業も名誉も家庭も失ってみたら」と回答。単なる人生相談にとどまらない、人間の心の奥底をのぞかせる言葉を残しました。
「虚弱体質で、物心ついたころから大変苦労してきました」という女性の質問。健康な人に対して「嫉妬心を抑えることのできない自分が嫌でたまりません」と訴えました。
それに対して車谷さんは「人の本質は孤独です。他人と自分を比較することには、価値はありません」と回答。「世の大部分の人は、比較しながら生きています。『愚か』です。明治以来、文部省がそういう教育をしてきたのです」と、他人と比較することが無意味であることを指摘しました。
解決方法として提示したのは、孤独になることでした。「不幸な人はしばしば、他人から思いやってもらうことを願いますが、その願いはほとんどの場合、かなえられません。ひとりぼっち(孤独)を決意する以外に、救いの道はありません」=(悩みのるつぼ)意味のないことはやりたくない(2010年1月9日)から
口論の絶えない妻との関係に悩む男性から「このような妻とはどのように婚姻を続けていけばいいのでしょうか」との切実な訴えが届きました。
車谷さんは「人の持って生まれてきた性格は変えられません」としたうえで、「私は離婚なさっても、かまわないと思います」と回答。さらに、離婚を前提に「奈良盆地を歩かれるとよいと思います。法隆寺のようなお寺だけでなく、田んぼの畦(あぜ)道で休憩したり、おにぎりを食べたりなさると楽しいですよ」と、アドバイスしました。=(悩みのるつぼ)口汚い妻にうんざりです(2011年1月22日)から
「自分でもコントロールできなくなるほど没入してしまう女子生徒が出現する」という質問者。「教育者としてダメだと思いますが、情動を抑えられません」と訴えました。
質問自体、論議を呼びそうな内容ですが、車谷さんの答えはさらに過激です。「あなたの場合、まだ人生が始まっていないのです」と、ばっさり。「破綻して、職業も名誉も家庭も失った時、はじめて人間とは何かということが見えるのです。あなたは高校の教師だそうですが、好きになった女生徒と出来てしまえば、それでよいのです」と、なんと教え子との関係を発展させることをすすめてしまいます。
そして、こう結びました。「阿呆になることが一番よいのです。あなたは小利口な人です」=(悩みのるつぼ)教え子の女生徒が恋しいんです (2009年6月13日)から