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渋谷慶一郎、ネットで新曲 電子音に載せた「子を持つ母親のつらさ」
音楽家の渋谷慶一郎さんが、母の日に合わせネットで公開した新曲。そこには「子を持つ母親の愛情とつらさ」が込められていました。
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音楽家の渋谷慶一郎さんが、母の日に合わせネットで公開した新曲。そこには「子を持つ母親の愛情とつらさ」が込められていました。
音楽家の渋谷慶一郎さんが、母の日に合わせネットで新曲を公開しました。電子音楽という最新の手法と、ネットで公開した曲を最愛の人に贈れるというコンセプトを形にしました。初音ミクのオペラをフランスで成功させるなど、常に革新的な取り組みをしてきた渋谷さん。YouTube動画やストリーミングなど、音楽との接点が多様化する中、新曲に込めた思いを聞きました。
新曲は、コカ・コーラの公式サイト「Coca-Cola Journey」(http://www.cocacola.co.jp/stories/mothersday_shibuya)上で公開されています。公開は5月8日から6月7日までの1カ月間限定です。
渋谷さんは、2013年に初音ミクが主役のオペラ「THE END」をパリ・シャトレ座で公演するなど、実験的な取り組みで知られています。その一方で「劇場版 SPEC」の音楽も手がけるなど、幅広いジャンルで活躍しています。
最近、企業からのオファーが増えているという渋谷さん。「自分から母の曲作ろうとは絶対思わないでしょうね。そういう意味では面白いプロジェクトになりました」と振り返ります。
新曲は、コカ・コーラのコーポレートサイトが展開するメッセージ「ハピネスを伝える」というコンセプトを元に作りました。「劇伴と呼ぶ人もいる注文音楽の価値が低いとは思いません。僕自身は作りたいものしか作れない。(注文に応えた後は)捨てていいやという曲は絶対作らない」という姿勢で臨みました。
新曲には「子どもと別れ、子どもに会いたいという母親のつらさ」も込めたと語ります。「恋愛とか親子愛とかでは分類不可能ですが、『お茶の間的な曲』という気持ちにはならなかったです」
もう一つのコンセプトが、ネットで配信するというもの。渋谷さんは「自分のCDにお金出してくれるファンだけに聞いて欲しいとは思っていない。ネット上でたくさんの人に聞いて欲しいし、リアクションも期待している」と前向きです。
現在はYouTubeだけなく、定額で聴き放題の「スポティファイ」など、様々なサービスが生まれています。そんな音楽業界の状況について渋谷さんは「10分間聴いてみて、スルメのようにその良さが分かるような曲は求められていない。でも、そんなに否定的にならなくてもいい。どの時代にもニーズがあって、それに対して解を出すのが音楽家の力量」と、とらえています。
コンピューターで音楽を聴くというスタイルは音楽家にとって「シリアスな環境」と指摘します。「正座して、対面して聴いているようなもの。音楽に対する態度が、リスナーに透けて見える。だから、ネットで人気のあるアーティストでコンピューターを使っている人は、丁寧に曲を作っている」
新曲は、極限までシンプルさを突き詰めました。それは、ネットを介して「母の日」に曲を贈るというコンセプトから生まれた工夫でした。
「メッセージと一緒に母親、恋人に送ってもらえたら、すごくうれしいですね」