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横浜弁じゃなかった「~じゃん」 はまっ子の自信が生んだ勘違い

語尾につく「じゃん」は横浜弁とも言われていますが、三河や山梨の方言という説もあります。果たして「じゃん」の発祥地はどこなのでしょうか?

高層ビルや観覧車の光が美しい「みなとみらい」の夜。発展した横浜の自信が「じゃん」の勘違いを生んだ
高層ビルや観覧車の光が美しい「みなとみらい」の夜。発展した横浜の自信が「じゃん」の勘違いを生んだ

目次

 「そう言ったじゃん」「いいじゃんよ」。語尾につく「じゃん」は横浜弁とも言われていますが、「三河地方では昔からじゃんを使っている」「山梨こそ本家だ」と各地から名乗りが上がっています。果たして「じゃん」の発祥地はどこなのでしょうか?

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「横浜発祥ではありません」

 「横浜発祥ではありません」と言うのは国立国語研究所の井上史雄客員教授です。

 「いろいろな説がありますが、静岡あたりから東海道を伝って人口とともに流入したと思います。戦前にはすでに横浜に『じゃん』はあった」。

 「じゃん」は、横浜の発展と共に流入した人々によって、もたらされた言葉のようです。

東海道五十三次「庄野」=2014年4月9日
東海道五十三次「庄野」=2014年4月9日 出典:朝日新聞

富士山の裾野のように

 井上さんは、1980年代、横浜から大阪までの東海道線沿線の各駅で、「じゃん」がどれぐらい地域に浸透しているか、年代別に調査しました。その浸透度合いや文献などの調査から、静岡、山梨を中心に「富士山の裾野のように」三河や横浜に広がっていったと結論づけています。

 横浜には戦前、輸出用のお茶を蒸す仕事があり、静岡などからも多くの女性が働きに来ていました。「言葉は、よそ者の若い女性の間でぱっと広がる。紡績やお茶の工場で働く女性を通じ、入ってきたのでは」。開港以来、全国各地から人を受け入れてきた横浜には、外から来たものを柔軟に受け入れる風土があったため、言葉も広まったのだといいます。

1935(昭和10)年ごろの横浜・中華街大通り入り口の絵はがき(横浜開港資料館所蔵)
1935(昭和10)年ごろの横浜・中華街大通り入り口の絵はがき(横浜開港資料館所蔵) 出典:朝日新聞

方言に引け目感じない「はまっ子」

 では、なぜ「じゃん」が横浜弁として全国で認知されるようになったのか。井上さんは「発展に伴い、横浜の文化に自信がついた」ためと推測しています。

 1970~80年代には、ロックグループ「横浜銀蠅」など独自の文化が「かっこいい」と全国に発信されていきました。井上さんは、自分たちが話す言葉を「方言」として引け目を感じることなく、使っていたことも一因とみています。

 「じゃんは、横浜の多様性を象徴するものでもあります」

大勢の人で賑わう横浜・赤レンガ倉庫=2015年3月28日
大勢の人で賑わう横浜・赤レンガ倉庫=2015年3月28日 出典:朝日新聞

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