京都大学吉田寮の新棟(左)。右のイチョウ並木の奥にあるのは築100年を超える現棟=2015年3月23日、左京区
日本四大自治寮
東大の駒場寮=2001年8月20日
吉田寮は東京大の駒場寮(すでに廃寮)、北海道大の恵迪(けいてき)寮、東北大の明善寮とともに「日本四大自治寮」に数えられる。寮の運営や入居者選考は寮生自身が担い、入寮者には自治活動への参加が求められる。
3棟をE字形につなげた現棟の木造2階建ての建物は13(大正2)年に完成したとされる。巨大なイチョウ並木の奥に玄関を構えた姿は独特の雰囲気を醸し出しており、学生や地域住民から長年親しまれてきた。
出典: 2015年4月21日:吉田寮に新棟完成 京大「現棟の建て替えを」 学生「補強工事で対応を」:朝日新聞紙面
ヤギやエミューを飼育
京大構内にある吉田寮=2004年3月
寮生がヤギやエミューを飼ったりライブを企画したりする自由な雰囲気を京大らしさとして肯定的にとらえる人がいる一方、自治活動への参加が不要な安全で新しい寮を早くつくるべきだと考える人もいる。
出典: 2015年4月21日:吉田寮に新棟完成 京大「現棟の建て替えを」 学生「補強工事で対応を」:朝日新聞紙面
廃寮騒動では逮捕者も
キャンパス内の掲示板には、吉田寮の自治会が新棟完成を紹介するビラが貼られていた=左京区の京都大=2015年4月1日
寮をめぐっては82年、大学側が86年3月での廃寮を決めたことで入居者らが反対運動を展開。抗議活動のなかで学生が逮捕される事態にまで発展した。近年は主に耐震上の理由をあげて大学側が現棟の建て替えを求めてきた。現在は、補強工事で対応するべきだと主張する自治会との間で現棟の老朽化対策について話し合いが続く。現棟についての交渉と並行して、新棟の建設工事が進められていた。
出典: 2015年4月21日:吉田寮に新棟完成 京大「現棟の建て替えを」 学生「補強工事で対応を」:朝日新聞紙面
大学によると、新棟は2013年11月着工。建設費は設計や事前の埋蔵文化財調査分を除き約8億円。鉄筋と木造が混合した地上3階、地下1階建てで、洗濯室や炊事室、サロンなどがある。居室は現棟と同じ相部屋で、収容定員は約95人。車いすの学生にも配慮したバリアフリーの居室や、エレベーターも備えられた。
新棟だけでは全ての寮生は収容できず、今後も学生の一部が現棟に入居したまま大学との話し合いを続ける。現棟の寮費は寄宿料400円のほか、光熱水費や自治会費を含めて月約2500円と格安。大学は新棟の寄宿料として4700円を提示しているが、自治会と合意に達するまでは現棟と同じ料金にするという。
出典: 2015年4月21日:吉田寮に新棟完成 京大「現棟の建て替えを」 学生「補強工事で対応を」:朝日新聞紙面
「起業して失敗しても生きていける」
ウェブソリューション事業を手がける「ゆめみ」代表取締役の片岡俊行(36)は吉田寮出身。高3のとき、時々高校を休んで京大の授業を聴きにいったが、「潜り高校生」の存在も黙認されていた。京大理学部に入学した後はほとんど授業に行かず、独学で数学や物理を学んだ。大学院は情報学研究科に進み、同じ研究室にいた深田浩嗣(36)らとともに、ゆめみを創業。
「吉田寮では月2千円くらいで暮らせていたから、起業して失敗してもなんとか生きていけるかな、と思っていました。大学院は休学、留年を繰り返して、そのまま起業。大学発ベンチャーじゃなくて、大学脱ベンチャーです(笑)」
出典: 2013年7月29日:京大「突き抜けた自由」 エリート養成大学院創設で変わるか :アエラ