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ソメイヨシノ、謎の原木 日本中に「クローン」 最初の1本は上野?
ソメイヨシノ、元々1本の木から広まった「クローン」です。その起源は謎とされていましたが、「原木は上野公園」とする研究結果が発表されました。
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ソメイヨシノ、元々1本の木から広まった「クローン」です。その起源は謎とされていましたが、「原木は上野公園」とする研究結果が発表されました。
別れと出会いの季節を彩る桜、全国的に一段落しましたが、みなさんが親しんでいるソメイヨシノ、実は1本の木が原木となり、すべて接ぎ木して増やされた「クローン」だということをご存じでしたか? 一斉に咲き、一斉に散るのは、同じ遺伝情報をもつクローンゆえ。だた、その起源ははっきりと解明されていません。
今年、そのソメイヨシノについて、気になる研究が明らかになりました。千葉大のチームが「元祖の1本は、東京の上野公園にあった」という結果をまとめたのです。
その研究によると、原木の候補は上野動物園の表門に近い「小松宮親王像」の北側にあります。中村郁郎教授(植物分子遺伝学)の調査で、親王像を囲む原木候補のソメイヨシノや、ほかのコマツオトメなど計7本が、すべて同じ親から生まれた「きょうだい」と判明。
それらが規則正しい間隔で並んでいることから、「品種改良で人為的な交配で生まれたソメイヨシノや他の桜を並べて植樹した可能性が高い」としています。中村教授らは、その後、見栄えの良いソメイヨシノが品種改良の成果として選抜されたとみています。
ソメイヨシノの起源は、エドヒガンとオオシマザクラが交配して生まれたことはわかっています。しかし、自然交配したものが見つかり人の手で増やした、江戸時代、今の東京都豊島区あたりにあった染井村の植木職人が人工交配で作り出した、などの諸説があります。
中村教授は「人為的な交配の証しが見つかった以上、起源が自然交配とは考えにくくなった」としています。
ちなみに、桜の野生種は日本には10種あります(9種という説もあります)。野生種の掛け合わせによって、美しいものが栽培品種をして育てられ、その数は200種以上。枝垂れ桜や八重桜などが代表的で、平安時代からそういう試みがなされてきたそうです。
サクラは自然交配しやすい植物で、雑種が生まれやすく、「専門家でも見分けられない」ほど、全国各地で個性豊かな桜がみられます。日本に住んでいるからには、ソメイヨシノ以外の桜にも注目していきたいところですね。