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テレ東、「同性愛者=化粧、女装」で謝罪 ネットで批判「偏見だ」
「化粧で同性愛者の気持ちを知る」??テレビ東京の番組で取り上げたセミナーを巡って、性的マイノリティー(LGBT)の人たちが、「ゲイ=女装は偏見」などとネット上で反論、番組ツイッターでおわびする騒ぎがありました。
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「化粧で同性愛者の気持ちを知る」??テレビ東京の番組で取り上げたセミナーを巡って、性的マイノリティー(LGBT)の人たちが、「ゲイ=女装は偏見」などとネット上で反論、番組ツイッターでおわびする騒ぎがありました。
「化粧で同性愛者の気持ちを知る」――。テレビ東京の番組で取り上げたセミナーを巡って、性的マイノリティー(LGBT)の人たちが、「ゲイ=女装は偏見」などとネット上で反論、番組ツイッターでおわびする騒ぎがありました。元豊島区議の石川大我さんは「女装で同性愛への理解は深まらない。まずは、当事者の声を聞くべき」と指摘しています。
発端となったのは、テレビ東京の経済ニュース番組「ワールドビジネスサテライト(WBS)」の宣伝ツイートでした。
9日夜の放送で、性的マイノリティー市場への企業の取り組みについて特集。その事前告知として、「化粧する男性たち。同性愛者の気持ちを知るためのセミナーの様子です。渋谷区が来年度から、結婚相当の関係にある同性カップルに証明書を発行しようと動き出したのを機に、性的マイノリティー市場に注目が集まっています」と投稿しました。
化粧する男性たち。同性愛者の気持ちを知るためのセミナーの様子です。渋谷区が来年度から、結婚相当の関係にある同性カップルに証明書を発行しようと動き出したのを機に、性的マイノリティー市場に注目が集まっています。今日の特集です。 #wbs pic.twitter.com/ZQDalT9usI
— WBS(ワールドビジネスサテライト) (@wbs_tvtokyo) 2015, 3月 9
すると、これに対して「ゲイは女装者じゃないしトランスジェンダーとも違うよ」「ジェンダーとセクシャリティーは別に考えるものです」といった、無理解への批判の声が寄せられました。
いや男が化粧するのを体験してみるのはいいと思うけど、それは「同性愛者の気持ちを知る」役には立たないでしょ……ゲイは女装者じゃないしトランスジェンダーとも違うよ。こういう広報の仕方は害の方が大きいのでは。 https://t.co/HyZVpud43O @wbs_tvtokyo
— HN[昼夜逆転]シダ (@s_i_d_a) 2015, 3月 9
化粧をすることで知ることができるのは「化粧をする人の気持ち」だけです。“@wbs_tvtokyo: 化粧する男性たち。同性愛者の気持ちを知るためのセミナーの様子です。渋谷区が来年度から、結婚相当の関係にある同性カップルに… #wbs pic.twitter.com/M15KteSETi”
— RFC(レインボーフォスターケア) (@rainbowfoster) 2015, 3月 10
@wbs_tvtokyo あのー。同性愛者(ゲイ・レズビアン)と、性同一性障害(トランスジェンダー)の違い、ちゃんとわかってますか?男である自分の性に違和感を持っていない男が、やはり男であることに違和感を持っていない男をすきな男性同性愛者が、化粧するのっておかしいと思いませんか?
— 田中昭全 (@zen916) 2015, 3月 9
@wbs_tvtokyo ジェンダーとセクシャリティーは別に考えるものです。あなたは体が男で心は女、で、恋愛対象は?となる問題のはずなのに、マスコミが率先して無理解を広めるとは……
— ふにゃ帽子 (@soft_HAT) 2015, 3月 9
これを受けて、WBSのツイッターは10日夕、「同性愛者を含むLGBTなどの性的マイノリティー、この場合は特に社会的に厳しい立場におかれがちな男性から女性へのトランスジェンダーの気持ちを疑似体験してほしいという意図で、一つの手段として女装をして街中を歩く(他人に見られる)というセミナーです」と釈明。
「同性愛者、トランスジェンダー、女装する方を同一視する意図は一切ありません。誤解を与える表現となってしまった事をおわびいたします」と謝罪しました。
テレビ東京宣伝部は取材に対して、「番組としての見解はツイートの通りです」と話しています。
昨夜の「LGBT」特集の投稿文について、補足させていただきます。特集中で取り上げたのは、同性愛者を含むLGBTなどの性的マイノリティー、この場合は特に社会的に厳しい立場におかれがちな男性から女性へのトランスジェンダーの気持ちを擬似体験してほしいという意図で、(続く) #wbs
— WBS(ワールドビジネスサテライト) (@wbs_tvtokyo) 2015, 3月 10
(続き)一つの手段として女装をして街中を歩く(他人に見られる)というセミナーです。同性愛者、トランスジェンダー、女装する方を同一視する意図は一切ありません。誤解を与える表現となってしまった事をお詫びいたします。 #wbs
— WBS(ワールドビジネスサテライト) (@wbs_tvtokyo) 2015, 3月 10
同性愛者であることを公言して当選した元豊島区議の石川大我さんも、「番組作ったディレクターは始末書もの」と手厳しいコメントを投稿していました。
同性愛者への理解について、石川さんに聞きました。
@wbs_tvtokyo 番組を見たときは「女装してトランスジェンダーの気持ちを知る」なのかと思っていた。「女装して同性愛者の気持ちを知る」がこの研修意図か。愕然。番組作ったディレクターは始末書ものだが、こんな研修やってる会社は最低だ。どこだ?
— 石川大我 (@ishikawataiga) 2015, 3月 9
石川さんは、「女装によって、同性愛への理解が進むとは思えません」と断言。「同性愛イコール女装」というのも誤解だといいます。
「例えば私は、男性として生まれ男性を好きになるゲイであり、スカートを身につけたり、化粧をしたりしたいとは思っていません」
しかし、講演会の後に「石川さんが、スカートをはいて自分らしい格好ができる社会になるといいですね」と感想を言われて、無理解の深刻さに驚いた経験もあるそうです。
一方で、今年2月には東京都渋谷区が、同性婚のカップルに証明書を発行する方針を発表するなど、行政側の理解と対応が進んだ面もあります。ただ、「これがブームとして受け止められて、間違った情報が広まってしまうかもしれない」という懸念があるといいます。
では、そうした無理解をなくすにはどうすべきなのでしょうか。
石川さんは「同性愛者への理解を深めたいのなら、まずは、当事者の声を聞くのが一番だと思います」と指摘。「例えば、性的マイノリティーで作る団体が、LGBTの成人式を企画したり、各地で研修なども開いています。そういう団体に連絡を取って、ぜひ話を聞いてほしい」としています。