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「今度だけはしっかり褒めてやる」後藤健二さんに先輩がかけた言葉

過激派組織「イスラム国」に殺害されたとみられる、フリージャーナリスト後藤健二さん(47)と親交があったテレビプロデューサーの、「ゴトケン」という愛称で語りかける新聞投書が反響を呼んでいます。

シリアで取材中に子どもたちに囲まれる後藤健二さん=サミ・マシャールさん撮影
シリアで取材中に子どもたちに囲まれる後藤健二さん=サミ・マシャールさん撮影 出典: ムハンマド・マフムードさん提供

 過激派組織「イスラム国」に殺害されたとみられるフリージャーナリスト後藤健二さん(47)。仕事を通じて親交があったテレビプロデューサーの新聞への投書が反響を呼んでいます。以下、その全文です。

「帰ってこいよ、ゴトケン」

 1日の日曜日、我が家の食卓に1人分のお箸が追加された。後藤健二さんの分だ。20年前、20代だった後藤さんは私のアシスタントディレクターを務めてくれた。いつも笑顔で、スタッフから「ゴトケン」と可愛がられた。

 テレビの取材で軍事政権下のミャンマーに入った。工事現場で小学生くらいの子どもたちが働いていた。女の子にゴトケンが年齢を尋ねた。「18歳」と答える。ゴトケンは「ウソだろ、10歳以下だろ」とつぶやいた。

 口紅を塗り、年齢を偽って子どもたちは働く。たった一椀(わん)のカレーを囲む家族の暮らしを支えている。帰国の日、ゴトケンは仲良くなった子どもたちの手を握って約束した。「きっと戻ってくる」

 後に数々の紛争地を取材し、ビデオを見せに来てくれた。戦争で苦しむ人々の姿が濃厚に収録されていた。だが、どこの場所かなど説明的シーンがほとんど無い。正義感と情熱がそうさせるのか。試写のたびに撮影の下手さを叱り、一度も褒めてあげなかった。

 帰ってこいよ、ゴトケン。今度だけはしっかり褒めてやるから。おまえの人生を。

 テレビプロデューサー 関根輝水(東京都 62)

通訳と一緒にシリア北部入りした後藤健二さん(右)
通訳と一緒にシリア北部入りした後藤健二さん(右) 出典: ムーサ・アムハーンさん提供

「涙が溢れてとまりません」ネット上で反響

 この文章は、朝日新聞2月7日付朝刊「声」欄に掲載されました。

 投書したテレビプロデューサーの関根輝水さんによると、後藤さんとは20年近くテレビ取材の仕事を一緒にしていたそうです。

 掲載当初から、ネット上で多くの反響がありました。元プロレスラーの高田延彦さんはツイッターで「短い文章ながら当時の風景が見えてきそうな行間である。胸が熱くなる」と、紙面の写真付きで紹介しました。

 これを見た人たちからは、「彼の遺したもの、気持ちをまた知り得ました。同じ日本人として誇りです」「涙が溢れてとまりません…」といった反応がありました。





「イスラム国の若者と仲良くなって…」望みかなわず

 関根さんは、いつもニコニコ笑っている後藤さんの姿が強く印象に残っているそうです。

 「イスラム国」に拘束された、というニュースを聞いた後も、「すぐに人の気持ちに入り込むやつ。イスラム国の若者と仲良くなってしぶとく生き残っているのでは」と、望みを捨てずにいました。

 2月1日早朝、後藤さんを殺害したとする映像がネット上で流れた後は、何をしても手に付かなかったといいます。
 
 「自分の気持ちの整理のために書いた文章。あいつに届けば、と思った」。投書に込めた思いをこう語っています。

後藤健二さんと湯川遥菜さんの追悼集会で、ろうそくや花束を供える人たち=2015年2月8日
後藤健二さんと湯川遥菜さんの追悼集会で、ろうそくや花束を供える人たち=2015年2月8日 出典: 朝日新聞

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