話題
ランニングの進化が想像以上 体中に色・泡…きっかけは東京マラソン
2007年に始まった東京マラソンは、現在のランニングブームが起きるきっかけとなりました。最近では、カラーランやバブルランなど、タイムは気にせずイベントとして楽しむ人も増えています。
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2007年に始まった東京マラソンは、現在のランニングブームが起きるきっかけとなりました。最近では、カラーランやバブルランなど、タイムは気にせずイベントとして楽しむ人も増えています。
2007年に始まった東京マラソン(2015年は2月22日開催)は、現在のランニングブームが起きるきっかけとなりました。最近では、カラーランやバブルランなど、タイムは気にせずイベントとして楽しむ人も増えています。
東京マラソンは、トップ選手と市民ランナーが一緒に走る本格的なシティマラソンとして、構想されました。当時、世界ではボストン・マラソンをはじめ、70年代にスタートしたニューヨークシティー、ベルリン、シカゴなどが人気を集めており、「東京は遅すぎたくらい」という声もありました。
東京マラソンの構想は、当時の石原慎太郎都知事が2003年に打ち出したものでした。背景には、五輪招致がありました。都内の名所を巡るコースを通じて、東京の魅力を世界に発信できるという狙いがあったのです。構想時に目指していた2016年の五輪は逃しましたが、2020年の招致に成功しました。
第1回の応募者は7万7521人で「予想以上」(当時の田中学・競技運営推進部長)の結果でした。抽選で2万5千人が選ばれました。昨年は、30万2442人が応募。3万5556人が選ばれました。10・3倍の高倍率でした。
東京マラソンによってランニングブームが起きます。象徴的なのが皇居ランです。東京マラソン以降、皇居ランのランナーが急増しました。マラソンの「きつい」「ストイック」といったイメージが、東京マラソンによって変わったことなどが後押ししました。
博報堂生活総合研究所の嶋本達嗣所長(当時)は2008年2月の朝日新聞の取材にこう答えています。「現代人が求める『ゆるやかな連帯』を味わえ、時代にマッチしている。一緒に走る連帯感の一方、チームスポーツとは違って他者との適度な距離感も保てる」
ランニングブームによって、各地の大会に応募者が殺到し、出場すること自体が難しくなります。笹川スポーツ財団の推計では2012年にランナー人口は1千万人を超えました。大会自体も2010年に奈良、2011年に大阪と神戸、2012年に京都と各地で広がりましたが、ランナーの増加の方が上回り、どこも抽選に。神戸では「初出場枠」を設けるほどになっています。
最近、広がっているのがタイムを競わない「ファンラン」のブームです。
「カラーラン」は、全身にカラーパウダーを浴びて走ります。昨年11月に大阪市であった「カラーラン」では、5キロコースの1キロごとに異なる4色のカラーパウダーを全身に浴びて走りました。パウダーは植物性のでんぷんで無害。参加者は受付で配られた白いTシャツだけでなく、顔も髪の毛も色まみれになりました。
「エレクトリックラン」は、カラフルに光るリストバンドやカチューシャ、メガネをつけて走ります。コース上には派手な光とノリのいい音楽が楽しめるゾーンも設けられています。
「スイーツマラソン」は、給水所にケーキや団子などが並びます。ひと口大のお菓子を食べながら走ります。
これら「ファンラン」は、どれもタイムは競いません。また、1人ではなくサークル仲間などグループで参加する人が多いのも特徴です。スマホで自撮りした写真をSNSにアップして、体験を共有してしまう人も少なくありません。ランニングというよりは、イベントに近い感覚で参加者を集めています。
本気で走る「ガチラン」からタイムを競わない「ファンラン」に変化してきたランニングブーム。日本ランニング協会代表理事の小林渉さんは、「婚活や女性限定など、ターゲットを絞ったランニングは増えてきそう」と見ています。
最近では、途中でランニングをやめてしまった「燃え尽きランナー」が注目されるなど、ランナーの多様化はますます進みそうです。
協会では、タイム以外の楽しさを知ってもらうため、インストラクターの講座も開いています。小林さんは「これからの時代、速い人が先生になる必要はありません。色んな形でランニングに触れてもらい、走る楽しさに気付いてもらいたいです」と話しています。