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祖父江慎、展覧会でも異才発揮 岡崎京子・赤塚不二夫・エヴァ展まで
祖父江慎さんは展覧会のデザインでも、たびたび名前が出てきます。これまでに「赤塚不二夫展」「エヴァンゲリオン展」など、話題の展覧会を手がけてきました。
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祖父江慎さんは展覧会のデザインでも、たびたび名前が出てきます。これまでに「赤塚不二夫展」「エヴァンゲリオン展」など、話題の展覧会を手がけてきました。
ブックデザイナーとして有名な祖父江慎さんですが、展覧会のデザインでも、たびたび名前が出てきます。これまでに「赤塚不二夫展」「エヴァンゲリオン展」など、話題の展覧会を手がけてきました。誰もが知ってるキャラクターを、祖父江さんならではの味付けでプロデュースしてしまう手腕に、本業以外のファンも少なくありません。現在、開催中の「岡崎京子展」では、ユニークなマスキングテープを作っています。
祖父江慎さんは1959年、愛知県生まれ。多摩美術大学グラフィックデザイン科に進学し、出版社の工作舎でアルバイトを始めます。その後、大学は中退して工作舎の社員になり、そのまま装丁の世界に進みます。「工作舎物語 眠りたくなかった時代」(左右社)に掲載されているインタビューでは、松岡正剛さんから「大学に行く意味があるのか」と迫られた場面が登場します。
ブックデザイナーとして数々の話題作を送り出してきた祖父江さんですが、最近、注目されたのは夏目漱石の特装版「心」です。誤字脱字もそのまま自筆原稿を活字にするという、刊行100年にふさわしい意欲的な1冊となっています。
これまでに、2千冊以上の装丁に関わってきました。新装版「うさこちゃん」シリーズでは、新しい書体「ウサコズフォント」までつくっています。「たどたどしいけれど一生懸命なうさこちゃん」に合うよう、ゴシック体に丸みをつけて柔らかさを出し、わざと文字をふぞろいに。思春期の性をテーマにした「正しい保健体育」は、「内緒でわくわくしながら読む感じ」を出すため表紙や組み方を教科書風に仕立てました。
そんな祖父江さんは、展覧会のデザインも多く手がけています。
2013年8月から各地を巡回中の「エヴァンゲリオン展」で作った「第7使徒グラス」は、冷たい水を入れると非常事態ディスプレイに色づく仕掛けが施されています。「リリスマグカップ」は白地に細い線画が描かれたシンプルなデザインで、エヴァの世界観を形にしています。
2013年に東京・六本木の森アーツセンターギャラリーで開かれた「スヌーピー展」では、アートディレクターをつとめ、図録も作りました。2013年11月の取材では「ポストカード、シュルツさんの奥さんにほめられたの。なかなか枠をこういう風には切れないって。怒られるかと思ってたけど…」と話していました。
2009年の「追悼 赤塚不二夫展」では会場のデザインを手がけました。マンガのコマをカーテンのようにつり下げたり、赤塚キャラ100体の半立体パネルを通路の左右にびっしり並べるなど、遊び心あふれる展示会場にしました。
現在、開催中の「岡崎京子展」では、マスキングテープという一風変わったミュージアムグッズを作りました。漫画「私は貴兄のオモチャなの」から、主人公のイラストがあしらわれています。ちょっと刺激的なポーズのイラストが、びっしりとデザインされたテープは、岡崎さんの世界観と祖父江さんのセンスが光る一品になっています。