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東京女子流、脱アイドルに波紋 パフューム・きゃりーとの違いとは?
アイドルの看板を下ろした「東京女子流」。今やアーティストのイメージの「Perfume」、アーティスト色を前面に出す「きゃりーぱみゅぱみゅ」との違いとは?
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アイドルの看板を下ろした「東京女子流」。今やアーティストのイメージの「Perfume」、アーティスト色を前面に出す「きゃりーぱみゅぱみゅ」との違いとは?
「東京女子流」がアイドルの看板を下ろしアーティスト宣言をしたことが、波紋を呼んでいます。アイドルとして応援していたファンからは戸惑いの声も。今回の宣言が話題になった理由とは? 同じくアイドルからアーティストのイメージになった「Perfume(パフューム)」、アーティスト色を前面に出す「きゃりーぱみゅぱみゅ」との違いはどこにあるのでしょうか?
2010年にデビューした「東京女子流」は、「ガールズ・ダンス&ボーカルグループ」を掲げて武道館コンサートを実現させるなど、人気グループとして成長。アイドルイベントに参加し、握手会も開いてきました。ところが、1月5日にインターネット放送で、3月でアイドル専門誌やアイドルイベントへの登場は終了し、楽曲やライブの制作も手がけていくと発表しました。アイドル風の楽曲も封印するそうです。
その理由についてグループの制作を担当する佐竹義康さんは「本来は歌やダンスで見せるアーティスト寄りのグループですが、数多くのステージに出演し、実力を鍛える機会としてアイドル活動もしました」と話しています。
メンバーの山邊未夢さんは「いつかどこかで目指してきた道に向けて、けじめをつけないととは思っていました」と胸の内を明かしました。今後の展開については「作詞だけでなく、ライブのセットリスト(曲の順番)や制作にも私たちがかかわっていきます。封印する曲もありますが、ファンの方と盛り上がれる新しい楽曲が欲しいと、メンバーたちで希望しています」と語っています。
アーティスト宣言は、当然、ファンから注目を集めました。40代の男性ファンは「自分がついていなくちゃ感がアイドルを応援する魅力。アーティストになると、しっかりしたお姉さんのようで張り合いがありません」。一方で、同じくファンのkomahikoさんは「楽曲やパフォーマンスは魅力なので、今後も応援します。ファンとの接触で人気のアイドルたちとは一線を画すのも賛成です」と肯定的です。
アイドルとアーティストの違いについて、「アイドル国富論」の著者で、経済産業省国際戦略情報分析官の境真良さんは「ファンからすると、未完成で親しみがもてるアイドルは水平な関係。一方、プロとしての技能を提供するアーティストは、崇(あが)める対象で垂直の関係です。手の届かない存在になることを意味しています」と説明します。
同じようにアイドルからアーティストにイメージが変わった「Perfume」はどうだったのでしょうか。アイドルライターの岡島紳士さんは「Perfumeは音楽性が認められ、アイドルからアーティストのイメージになった」と分析しています。
「Perfume」は、イメージの変化をファンが好意的に受け止めているところにも特徴があります。中田ヤスタカさんとの出会いによってテクノポップ路線になっても、長い下積み期間があったことが、ファンとの絆を強くしています。
「Perfume」と同じく、中田ヤスタカさんがプロデュースする「きゃりーぱみゅぱみゅ」は、アイドル路線との「決別」を鮮明にしています。
「TV Bros.(テレビブロス)」の連載タイトルは、ずばり「あたしアイドルじゃねぇし!」。ツイッターでの率直なメッセージがたびたびニュースになる彼女らしいタイトルです。内容も、ツイートを元に書かれた記事に対して「どうせ世間は嘘ばかり」などと、本音トークを繰り広げています。肩書きも「アーティスト/モデル」にしており、雑誌などではアイドルではなくアーティストとして取り上げられることも少なくありません。
「きゃりーぱみゅぱみゅ」は2013年8月の朝日新聞のインタビューで、次のように答えています。「アイドルの方とやっていることは似ているんですけど、スタンスが違います。わたしには『アイドルスマイル』とかできないですから。よく『ライブのとき全然笑わないし、楽しくなさそう』ってよく言われます(笑)」。
周囲から自然とアーティストとして受け止められるようになった「Perfume」。アイドルのように見られる中、あえて、非アイドル色を前面に出してきた「きゃりーぱみゅぱみゅ」。路線変更と非アイドルという点では共通する「東京女子流」ですが、違いは活動の途中でそれを自ら宣言した点にあります。特にファンとの関係性が重要な意味を持つアイドルからの転換だっただけに、今回のアーティスト宣言は注目を集めたようです。