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個人情報保護法改正案、これで本当に大丈夫? 本人への開示なし…
個人情報保護法改正案が、次期通常国会に提出されます。プライバシー保護など積み残された課題もあります。改正案の気になるポイントとは?
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個人情報保護法改正案が、次期通常国会に提出されます。プライバシー保護など積み残された課題もあります。改正案の気になるポイントとは?
個人情報保護法改正案が、次期通常国会に提出されます。ビッグデータのビジネス活用を進めるのが狙いですが、プライバシー保護など積み残された課題もあります。改正案の気になるポイントとは?
内閣官房IT総合戦略室が先月、政府の「パーソナルデータ検討会」に示した個人情報保護法改正案の骨子では、個人が直接特定できる氏名や住所など、現行法で定められた「個人情報」とは別に、匿名加工された購買履歴や位置情報を新たに「匿名加工情報」とし、提供者本人の同意がなくても利用できる枠組みを作りました。
しかし匿名化の技術には限界があります。検討会でも「どのような個人情報も匿名化できる汎用的な技術はない」という結論に達しました。ネットに出回る書き込みや顔画像などとつきあわせると個人が特定されるてしまう「晒し」の危険は、防ぎようがないのが実情です。
改正案によると、企業はどこに提供したかを本人に開示する必要はありません。政府の「パーソナルデータ検討会」では、「データの行方を追跡できなければ、違反があっても、その事実がつかめなくなる」など問題点が指摘されました。しかし、政府のIT総合戦略室は「(開示の)義務を課すことは過度な規制になり、ビジネス振興に支障が出かねない」との立場をとっています。
データの分析によって、より高度な個人情報が生まれた場合の取り扱いも課題になっています。ネットショッピングの履歴やフェイスブックの友達関係など、複数のデータを組み合わせれば、一つ一つのデータだけではわからない個人の趣味や思想信条がわかってしまう場合もあります。そのような情報を本人の同意なしで売買していいのか。
検討会のメンバーの佐藤一郎・国立情報学研究所教授は「それらが売買され、本人の知らぬうちに異なる目的に活用され、権利を侵害されるおそれもある。その場合、将来は規制を考えた方がいい」と話しています。
国内最大級のポイントカード、Tカードをめぐっては、2014年11月に発表した個人情報に関する規約改定をめぐり、ネット上で議論が起きました。情報提供の許可をユーザーが選択する「オプトアウト」の受け付けが、提供先の多さを強調する形になり、戸惑う声が表面化しました。
2013年7月には、JR東日本がICカード「スイカ」の乗車履歴データを日立製作所に販売したことに批判が出ました。データに氏名や連絡先は含まれないようにしていましたが、JR東は「説明が不十分だった」と謝罪。JR東と日立は契約を解除する事態になりました。
法整備が進んでいるとはいえ、企業の個人情報の利用については、気になるユーザーが多いのも事実です。企業には今後も慎重な取り扱いが求められそうです。