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埼玉でカラス死骸111羽 大量死、実は珍しくない?毎年のように…

埼玉県でカラスが大量死しているのが見つかりました。鳥の大量死は、過去にもたびたび起きています。2011年には世界各地で発生したためCNNが大々的に報じました。ただ、専門家によると、動物の大量死は、けっこう頻繁に起きているようです。

鳥の大量死、実は珍しくない?
鳥の大量死、実は珍しくない? 出典: imasia

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 埼玉県でカラスが大量死しているのが見つかりました。鳥の大量死は、過去にもたびたび起きています。2011年には世界各地で発生したためCNNが大々的に報じました。ただ、専門家によると、動物の大量死は、けっこう頻繁に起きているようです。

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カラス111羽、餓死?細菌?

 埼玉県は今月7日、年末年始に県内4カ所でカラスの死骸が計111羽見つかったと発表しました。いずれも外傷はなく、鳥インフルエンザの感染も確認されませんでした。県は餓死や細菌性腸炎の可能性があるとみて原因を調べています。
 埼玉県によると、県南部の入間、狭山、所沢の3市にまたがる半径3キロの範囲の3カ所で、昨年12月30日~1月6日に計81羽の死骸が見つかりました。北に約40キロ離れた熊谷市の砂利採取場でも計30羽の死骸が見つかりました。

埼玉県入間市宮寺地区で見つかったカラスの死骸=2014年12月30日、埼玉県提供
埼玉県入間市宮寺地区で見つかったカラスの死骸=2014年12月30日、埼玉県提供

ウミネコ数十匹「こんな光景はこれまでに見たことない」

 2014年3月、石川県珠洲市三崎町の小泊海岸で数十匹のウミネコの死骸が漂着していました。発見した男性は「こんな光景はこれまでに見たことない。ただびっくりした」。国立環境研究所の調査でも死因の特定には至りませんでした。
 金沢大学の大河原恭祐・助教(生物学)は、発見された当時、未知の病気や、ほかの生き物に攻撃された可能性をあげ「死因が特定できないことはよくある。検出されない物質を摂取した疑いもある」と話していました。

ウミネコが漂着した海岸=2014年3月19日、石川県珠洲市三崎町小泊、珠洲市提供
ウミネコが漂着した海岸=2014年3月19日、石川県珠洲市三崎町小泊、珠洲市提供
珠洲市と富山県射水市の海岸で3月、大量のウミネコの死骸が見つかった問題。国立環境研究所(茨城県つくば市)の調査でも死因の特定には至らなかった。いったい何があったのか。研究者も首をかしげる。
石川)ウミネコ大量死の怪 研究者も首かしげる:朝日新聞デジタル

ハシボソミズナギドリ100羽「何だこれは」

 2013年6月、海鳥のハシボソミズナギドリ(ミズナギドリ科)が高知県四万十市の土佐湾で大量死し、砂浜に続々と死体が漂着しました。漂着死体は多い時で2~3メートルおきにあり、総数は100羽以上と推定されました。山階鳥類研究所によると、赤道通過後に卓越風で太平洋の北西側に吹き寄せられることで総飛行距離が2割ほど増えることがあり、餌を食べられず体力を落とし、目的地に着く前に一部が力尽きることがあるそうです。
 発見した男性は当時、「何だこれは、とびっくりするような日もあった。哀れを感じますね。数が少なければ埋めてやるのですが、何ともなりません」と嘆いていました。

砂浜に漂着したハシボソミズナギドリの死体=2013年6月4日、高知県黒潮町入野
砂浜に漂着したハシボソミズナギドリの死体=2013年6月4日、高知県黒潮町入野
公益財団法人山階鳥類研究所(千葉県我孫子市)によると、経験豊かな成鳥は越冬する寒流域まで太平洋を最短コースで北上するが、その年に巣立った若鳥は、赤道通過後に卓越風で太平洋の北西側に吹き寄せられることが多く、その場合総飛行距離が2割ほど増えるという。その結果、日本列島沿いの餌の少ない暖流域で餌を食べられず体力を落とし、目的地に着く前に一部が力尽きる。その時期が5月下旬~6月上旬。大規模な死体漂着は1964年以降数度記録され、今世紀に入り多発傾向にあるという。
2013年6月7日:哀れハシボソミズナギドリ 餌少なく力尽く? 西部の海岸/高知県:朝日新聞紙面から

アメリカでスズメ5千羽、イギリスでカニ4万匹

 2011年は、世界中で動物の大量死が確認され注目を集めました。アメリカのアーカンソー州では前年の12月31日の深夜にスズメの仲間5千羽以上が落下。そこから200キロ西の川では、魚8万匹余りが死んでいました。その後、「スウェーデン南部で鳥50羽が落下」と報じられたのを皮切りに、「英国でカニが4万匹」「ブラジルでイワシなど100トン」「米メリーランド州で魚200万匹」などの報告が相次ぎました。

 ただし大量死自体は珍しい現象ではないようです。当時の米野生生物保健センターのウェブサイトには、報告があった大量死のリストが掲載されましたが、数十匹程度の「大量死」なら、全米では毎週のように起きていました。
 センターのクリステン・シュラー博士は当時の取材に「大量死の多くは人口密度が高くないところで起きており、普段気づかれにくい」と指摘。関心の高まりが、大量死の「続出」につながっていると分析していました。

2011年に話題になった世界各地の動物の大量死
2011年に話題になった世界各地の動物の大量死
だが野生生物の大量死は珍しいことではない。日本でも2010年9月末、北海道岩見沢市の住宅地でムクドリ114羽が死んでいるのが見つかった。鳥インフルエンザは陰性で原因は不明だった。米野生生物保健センターのウェブサイトには、報告があった大量死のリストが掲載されているが、数十匹程度の「大量死」なら、全米では毎週のように起きている。理由もそれなりに推定できる例が少なくない。「米国の魚200万匹」の原因は、州環境局が「水温低下による影響」と発表した。感染症などの病気や水位低下、水質悪化、化学物質などが死因と疑われることもある。
2011年1月9日:動物大量死、世界で話題に 謎解き過熱、終末論まで:朝日新聞紙面から

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