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ダイハツ、ムーヴを4年ぶり全面改良 国民車、軽ワゴンの競争激化

ダイハツ工業は12日、軽ワゴンの主力車種「ムーヴ」のフルモデルチェンジを発表した。ムーヴはスズキ・ワゴンRと並ぶ軽ワゴン市場のパイオニア。燃費や質感の向上といった正常進化で、シェア奪還を図る。

ダイハツのシェア回復の切り札、新型ムーヴ(写真はカスタム)
ダイハツのシェア回復の切り札、新型ムーヴ(写真はカスタム)
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 ダイハツ工業は12日、軽ワゴンの主力車種「ムーヴ」の4年ぶりとなるフルモデルチェンジを発表した。軽自動車は維持費の安さからシェアを伸ばし続け、2世帯に1台が普及した「国民車」。中でもムーヴはスズキの「ワゴンR」と並ぶパイオニアだ。

 ただ、ダイハツはスズキとの激しい競争で、今年度上半期にシェア首位から転落。三井正則社長は「客のニーズに応え、基本性能を大幅な進化させた新世代のベストスモール」と語り、燃費や質感の向上といった“正常進化”で首位奪還を図る。

【ディテールに迫る】フォトギャラリーはこちら
三井正則社長が出来栄えに胸を張る、ダイハツの新型ムーヴ
三井正則社長が出来栄えに胸を張る、ダイハツの新型ムーヴ

日本のクルマの4割は軽

 地方のバイパスやショッピングセンターの駐車場でよく見かける軽乗用車。

 全国軽自動車協会連合会(全軽協)によると、国内の軽自動車全体の総保有台数は2906万4780台。法人需要もあるものの、普及率は1.89世帯に1台にもなる計算だ。1977年以来、一貫して伸ばし続けている。

 度重なる不況やガソリン価格上昇、税金の安さや燃費の良さが、普通車からの買い替えを促している。消費増税で普通車の販売が落ち込んだこともあり、全自動車市場でのシェアは今年初めて4割を超える見通しだ。

 1月から11月までの軽自動車の販売は207万2817台で、前年を6・6%上回った。一方で軽以外は305万8138台で1・7%増で、軽が全市場の40・4%を占めた。11月の軽の販売は、すでに消費増税前の駆け込みが始まっていた前年より2・2%減った。ただ、軽以外が13・5%減っていたのに比べると落ち込みが小さい。
軽自動車の国内販売、2年連続過去最高へ 初の4割超:朝日新聞デジタル
地方のショッピングセンターの駐車場では、黄色いナンバーの軽乗用車が目立つ=2006年11月15日、群馬県高崎市
地方のショッピングセンターの駐車場では、黄色いナンバーの軽乗用車が目立つ=2006年11月15日、群馬県高崎市 出典: 朝日新聞

軽の人気確立したパイオニア

 この人気を長く牽引してきたのが、93年から相次いで発売された、ワゴンRとムーヴだ。全高を高くして使い勝手を高める一方、カジュアルな内外装で、それまで商用や廉価版の印象が強かった軽自動車のイメージを一新。以来、主に地方での通勤や主婦の買い物カーとしての地位を確立した。

中核車種として「幅広い客のニーズに応えた」という、新型ムーヴ
中核車種として「幅広い客のニーズに応えた」という、新型ムーヴ
新型ムーヴカスタムのインパネ。メッキパーツの多用で質感を高めた。ガラス面積が広く、見切りは良い
新型ムーヴカスタムのインパネ。メッキパーツの多用で質感を高めた。ガラス面積が広く、見切りは良い

燃費改善、質感も向上

 今回、4年ぶりの全面改良で6代目となる新型ムーヴの燃費は、ガソリン1リットル当たり最高31キロ。現行型の29キロから大幅向上させ、ワゴンRの32.4キロに迫った。燃料噴射の効率化や車体の軽量化など、地道な“カイゼン”に努めた。
 骨格の設計を刷新したボディは剛性を高め、しなやかな乗り心地を実現したという。
 また、内装は材質の質感を高め、先行発売した「ウェイク」のテイストをくむ直線基調のおかげで、居住性も高めた。

材質の軽量化によって、オーソドックスな跳ね上げ式テールゲートが実現した
材質の軽量化によって、オーソドックスな跳ね上げ式テールゲートが実現した
リアシートを倒した様子。直線基調のデザインで、広い荷室を確保
リアシートを倒した様子。直線基調のデザインで、広い荷室を確保

混戦模様の軽ワゴン市場

 軽乗用車市場のシェア争いは過熱する一方だ。

 1973年度以来、スズキが首位を守ってきたが、2006年度には軽にラインナップを集約したダイハツが奪還。その後、背高ワゴン「タント」のヒットで7年連続首位を維持してきたが、14年度上半期(4―9月)は、スズキがワゴンRの燃費改善やクロスオーバーSUV「ハスラー」を投入し、シェア32.7%で再び逆転。ダイハツは30.4%にとどまった。

鈴木修会長兼社長も思い入れたっぷりの、スズキの現行ワゴンR(マイナーチェンジ前)=2012年9月6日
鈴木修会長兼社長も思い入れたっぷりの、スズキの現行ワゴンR(マイナーチェンジ前)=2012年9月6日 出典: 朝日新聞

 ダイハツとスズキ2強の牙城を崩そうと、他メーカーも軽シフトを鮮明にする。

 海外市場を重視して普通車に注力していたホンダは、12年11月発売の「N―ONE」を手始めに、軽ラインナップを刷新。燃費や価格での勝負を避け、小型車に匹敵する乗り心地や使い勝手を武器に地道に伸ばしている。

 日産は不振が続く三菱自動車との提携を強化。協業の目玉として、「DAYZ(デイズ)」シリーズを共同開発し、両社の販路を生かした食い込みをもくろむ。

 ダイハツは「これからも軽の本流でありつづける、という意志を感じてもらえる」(三井社長)と自負する新型ムーヴで、勝負をかける。

使い勝手の良さが支持され好調が続く、ホンダN―BOXの生産ライン=2013年3月14日
使い勝手の良さが支持され好調が続く、ホンダN―BOXの生産ライン=2013年3月14日 出典: 朝日新聞
関係を深める三菱との共同開発車、日産DAYZ=2013年6月6日
関係を深める三菱との共同開発車、日産DAYZ=2013年6月6日 出典: 朝日新聞
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