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納豆嫌いの和歌山に、納豆集落があった 先祖代々ひっそり受け継ぐ

 納豆の消費が全国でもダントツに低い和歌山に、納豆作りを続ける集落がありました。意外な納得文化圏を見つけたのは、地元の専修学校の生徒たちでした。

調査結果を住民に説明する生徒たち(左から3人)。住民のひざの上にあるのが納豆を巻く藁束=紀美野町花野原
調査結果を住民に説明する生徒たち(左から3人)。住民のひざの上にあるのが納豆を巻く藁束=紀美野町花野原 出典: 朝日新聞

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 納豆の消費が全国でもダントツに低い和歌山に、納豆作りを続ける集落がありました。意外な納豆文化圏を見つけたのは、地元の専修学校の生徒たちでした。

納豆嫌いで有名な和歌山

 和歌山は県庁所在地を中心に調べた総務省の調査で2番目に納豆の消費(支出額)が少ないなど、納豆嫌いの地域として有名です。近代まで納豆は伝来していなかったと言われてきました。食卓に上がると「納豆はよう食べやん。テーブルに載っていても『下ろして』と言う」ほどの土地柄です。

「和歌山生まれの夫は、納豆はよう食べやん。テーブルに載っていても『下ろして』と言うほど」。こう話す和歌山市内の小料理店の女将(おかみ)さんは、静岡出身。「納豆は寒いところでよく食べる。温暖な和歌山では食べる習慣がないのでは」
2007年1月14日:納豆食べる?食べない? テレビで紹介、ブーム 和歌山の購入額、全国最低:[朝日新聞紙面から]
統計局ホームページ/家計調査(二人以上の世帯) 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(平成23年(2011年)~25年(2013年)平均)

ちなみに納豆のお供ランキング1位はネギ!

「納豆のお供は?」ランキング
「納豆のお供は?」ランキング 出典: 2013年9月21日:(beランキング)納豆に欠かせない名脇役 においや粘り軽減、うまみ増す:朝日新聞紙面から

納豆菌混ざるのを警戒?

 和歌山で納豆の消費が少ないのはなぜか。和歌山は、しょうゆやみそなど、大豆の加工品の生産が盛んな地域。その際に納豆菌が混ざらないようにするため、納豆を遠ざける人が多く、納豆を食べる習慣がなかったという説もあります。

そんな和歌山にも納豆メーカーがある。「豆紀」(本社・和歌山市井ノ口)。その工場長はこう分析する。納豆菌は生命力が強い。醤油(しょうゆ)やみそなど大豆の加工品の生産が盛んな和歌山では、納豆菌がこうじ菌に混ざるといけないので納豆を遠ざける人が多く、好んで食べる習慣がなかったのではないか
2007年1月14日:納豆食べる?食べない? テレビで紹介、ブーム 和歌山の購入額、全国最低:[朝日新聞紙面から]

通説を覆す納豆集落

 そんな和歌山に納豆集落がありました。和歌山市から車で1時間ほどの所にある紀伊山地北部の紀美野町では、先祖代々、納豆づくりが受け継がれてきたのです。突き止めたのは「りら創造芸術高等専修学校」の生徒たち。約100軒を1年かけて調べました。すると、今まで納豆文化がなかったとされていた紀美野町に、納豆集落があることがわかったのです。

緑に囲まれたりら創造芸術高等専修学校
緑に囲まれたりら創造芸術高等専修学校
全国の県庁所在地別の納豆消費量ランキングで最下位になったこともある和歌山で、紀美野町は先祖から綿々と納豆づくりが受け継がれてきた。そんな食文化の意外な歴史を、りら創造芸術高等専修学校(同町真国宮)の生徒たちがひもといた。
和歌山)「塩納豆」文化、専修学校生が発見:朝日新聞デジタル

家から家へ、外には広がらず

 なぜ一部の集落だけで受け継がれていたのか。紀美野町の納豆集落の納豆は、京都市右京区の京北地区に伝わる納豆に近いそうです。京都から和歌山に伝わった納豆文化が、婚姻によって家から家に伝承された一方、それ以外には広がらなかったと分析しています。

アンチ利用し地域興し

 調査をしたりら創造芸術高等専修学校の生徒たちは、アンチ納豆の和歌山に存在した納豆集落を地域興しにできなかとも考えています。「今後は特産品にするなど地域ブランドとしてPRする方法を考えたい」と話しています。

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