お金と仕事
グーグルのシュミット会長語る「社内競争は不要。在宅勤務はダメ」
米グーグルのエリック・シュミット会長が4日、都内で講演し、「グーグルには派閥抗争はない」と語りました。社員の能力を最大限引き出すにはどうすればいいのか、持論を展開しました。
お金と仕事
米グーグルのエリック・シュミット会長が4日、都内で講演し、「グーグルには派閥抗争はない」と語りました。社員の能力を最大限引き出すにはどうすればいいのか、持論を展開しました。
米グーグルのエリック・シュミット会長が4日、来日して都内で講演し、「グーグルには派閥抗争はない」と語りました。社員の能力を最大限引き出すにはどうすればいいのか、持論を展開しました。
シュミット会長は、同僚のジョナサン・ローゼンバーグ氏らとの共著「How Google Works ―私たちの働き方とマネジメント」(日本経済新聞出版社)の日本語版の出版に合わせて来日。グーグル日本法人の元社長の村上憲郎氏と共に、「グーグル・メソッド」を約1千人の前で語りました。
シュミット会長は、グーグルのビジネス戦略から語り始めました。
「やるべき唯一のことは、素晴らしい製品を作ることです。それがあればお客は後から付いてきますし、お金を稼ぐことも出来ます」
その中で、重要な課題だったのは、「マイクロソフトがグーグルにならないようにする」こと。つまりグーグルが最高の製品を手がけて、常に優位に立つことでした。
ちなみにこの計画、グーグル社内では「カナダ」というコードネームで呼ばれていたそうです。理由は「マイクロソフト社がグーグルの北にあるから」ということです。シュミット氏は自ら、著書の中では「フィンランド計画」と記載されていることに触れ、「実はこれはコードネームのコードネームだった」と、はにかみながら説明しました。
シュミット会長は、会社内の組織のあり方についても持論を述べました。
「(社内の部で独自の目標を追い求めることや派閥抗争などは)グーグルにはありません。以前、私がいたころのサン・マイクロシステムズは、ユニットごとの独立採算制で、競争し合っていた。私は、社内競争や社内抗争があるところでは二度と仕事をしないと思いました。ユニット単位で、インセンティブやボーナスを出すと色々な悪い結果が出てしまいます。売り上げが立つと、みんなに同じボーナスが支給されるべきです」
グーグルにはOKR(Objective and Key Results:目標と主要な結果)という指標があります。元々はインテル社にあった概念で、それがグーグルに持ち込まれたということです。
この目標のあり方について、シュミット会長は熱弁します。
「目標を100%達成できるということであれば、十分に高い目標と言えず、別のゴールの設定が必要です。極めて良くやっても70%ぐらいの達成が良い。つまり常により高いゴールを目指すことが大切です」
さらにはこんなことも。
「10%の改善を求めるべきではなく、10倍の改善を求めるべきです。それは不可能に近いかもしれませんが、チームで努力して3倍の結果を出すかもしれません。これは大きな成功です。ほとんどの日本企業は小幅に改善していくが、グーグルはそうしない。『10倍を目指す』というのは、クレージーと言われるが、そんな行動を推奨しています」
締めくくりに、会場の聴衆に向けたメッセージを求められたシュミット氏は「新しいアイデアに近いポジションにいること」の重要性を説きました。
「新しいアイデアは常に生まれる。重要なのは、自分でそれを生み出せるか、もしくはそれを生み出せる人を知っているかということです。私にとって幸運だったのは、年上、年下を問わず、賢く、創造性のある人々とつきあってきたことです。そうしたエネルギーに満ちあふれた人がいれば、それは周囲に伝染していくのです」
その後、会場からの質問にもいくつか答えました。
「グーグル的な組織を作る」にはとの質問には、「会社を作る際、重要なのは魅力的なビジョン、優れたビジョンを打ち立てて、それを信じることです。インパクトがあれば、人は付いてきます」と答えました。
グーグルは、Androidなどをオープンソースとして、無償公開しているが、会場からは収益面を心配する問いかけもありました。
「(無償公開しているのは、)プラットホームだからです。無償なので、多くの人がそれを強化してくれます。重要なプラットホームを作れば、広告収入や購読料など他で収益を得ることもできます。そういったことから、多くのオープンソースのプロジェクトは成功しています」
さらには在宅勤務についての質問も。
「自宅から仕事が出来るような環境であるべきだと言われた時期もありましたが、私はまずいと思っています。日常の何げない会話、物理的に一緒にいる場から革新的な発想は生まれます。例外はありますが、オフィスには来るべきで、在宅勤務は良くないアイデアだと思います。」