IT・科学
スマートニュース米国進出 APやリコードなど有力メディアと提携
ニュースキュレーションアプリ「スマートニュース」が米国版の提供を始めた。米メディア十数社と提携。日本版アプリもアップデートし、日米のニュースを一つのアプリで手軽に読めるようにした。
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ニュースキュレーションアプリ「スマートニュース」が米国版の提供を始めた。米メディア十数社と提携。日本版アプリもアップデートし、日米のニュースを一つのアプリで手軽に読めるようにした。
ニュースキュレーションアプリを提供する「スマートニュース」(本社・東京都渋谷区)が1日、米国版の提供を始めた。米メディア十数社と記事提供の契約を結んでおり、日本発のニュースアプリとしては初じめての本格的な米国参入となる。あわせて日本版アプリもアップデートし、国内からも米国版が利用できるようにした。
ネット上で話題になっている記事をアルゴリズムで収集し、編成するという設計は日本版と同じ。デザインもほぼ変わらず、「なるだけスワイプだけで操作できるように」(鈴木健会長)という操作感はそのままだ。
英文のプレスリリースによると、米国版では提携メディアとして、まずは16社が名前を連ねている。世界的通信社APや、新興メディアながらIT系のニュースで定評があるRe/code(リコード)、解説記事に特化したVoxなど。新聞社ではロサンゼルス・タイムズが入ったが、ニューヨークタイムズやワシントンポスト、USAトゥデーといった大手はこれからのようだ。プレス発表に名前があるNBCやプロパブリカは、チャンネル一覧では確認できなかった。
プレスリリースには、提携メディアから以下のようなコメントが寄せられている。
「スマートニュースはユーザーフレンドリーなアプリで、しかも、パブリッシャーフレンドリーなビジネスモデルを持つ」(AOLの戦略提携責任者キム・カドレック氏)
「新しい記事配信メカニズムを試みる大きな機会であり、スマートニュースとの連携で、新たな読者を獲得したい」(Vox.comエグゼクティブ・エディターのメリッサ・ベル氏)
500万ダウンロードを突破した日本版も「バージョン2.0」にアップデートしている。設定を切り替えれば、米国版が利用できる。
ニュースキュレーションアプリの強みは、一つのアプリで多数のメディアの記事を読めることだが、その範囲が海外のコンテンツにまで広がった。
スマートニュースは米国進出のため、交渉役の人材を積極的に集めてきた。今年6月にはウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)オンラインの創刊メンバーだったリッチ・ジャロスロフスキ-氏を迎えた。9月には米出版大手コンデナストの事業開発担当ディレクターを務めたバーニ-・デイヴィス氏をパートナーリレーション担当ディレクターに起用した。
ハフィントンポスト日本版の編集長を退任し、9月にメディア担当ディレクターとしてスマートニュースに加わった松浦茂樹氏は米国版の提供前に「ベースとなる仕組みは各国共通だが、国ごとの担当者が現地のユーザーが望むコンテンツをそろえる。それはハフィントンポストと同じ」と話していた。
日本で競合するグノシーは海外展開では先行。5月の英国をはじめ、北米でもアプリ提供をしている。しかし、現地メディアとの提携はなく、現状はアルゴリズムで収集される記事をそのまま掲載している状況で、「日本でのモデルが通用するか、調査している段階」(福島良典・最高経営責任者)だ。
米国市場では、世界最大規模のフリップボード、ザイト、パルス、ディグなど、ニュースアプリの競合が多い。日本発のニュースアプリがどこまで通用するのか、今回の本格参入が試金石となる。