お金と仕事
「ゼロ発泡酒」戦争が勃発 サッポロ「極ゼロ」追撃で3社が同時発売
9月2日、サントリー、キリン、アサヒビールの3社がいっせいに「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」の発泡酒を発売。「ゼロ発泡酒」の競争は激戦になりそうです。
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9月2日、サントリー、キリン、アサヒビールの3社がいっせいに「糖質ゼロ」「プリン体ゼロ」の発泡酒を発売。「ゼロ発泡酒」の競争は激戦になりそうです。
サントリー酒類とキリンビール、アサヒビールの3社は2日、それぞれ「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」の発泡酒をいっせいに売り出した。
特徴が似た商品の発売日が重なるのは、業界では異例。この分野で先行するサッポロビールの「極ZERO」(ゴクゼロ)が売れており、各社そろって追撃に乗り出した。
2日昼すぎ、東京・江戸川区のイオン葛西店。1階のアルコール売り場には長蛇の列ができていた。
お目当てはキリンビールが仕掛けた店頭サンプリングだ。
「うまさと飲み応えを兼ね備えた商品です。よろしくお願いします」
キリンビールマーケティングの布施孝之社長が、一人ひとりに発売したての「淡麗プラチナダブル」を配った。
キリンによると、発売日に幹部社員が自ら店頭に立ってアピールするのは珍しい。
それだけ、この商戦が「負けられない戦い」のようだ。
「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」の発泡酒は、健康志向を背景に市場拡大が見込める数少ない分野。
好調な売れ行きで先行するのは、サッポロが昨年6月に発売した極ZEROだ。
極ZEROは、国税庁から「製造方法が、酒税が安い『第3のビール』にあたらない可能性がある」と指摘され、7月に発泡酒として再出発した。
酒税の税率引き上げで20円ほど値上げしたが、この一件で「知名度がさらに上がった」(業界関係者)ため、7月は販売計画を1割上回り8月も好調だった。
刺激を受けたライバル3社は新しい発泡酒を投入。サントリー酒類が「おいしいZERO」、アサヒビールが「スーパーゼロ」だ。
3社の新商品は価格帯も極ZEROと同じで、350㍉リットル缶で税込み想定価格は165円前後だ。
似た商品による混戦となり、限られた売り場で生き残ることはできるのか。
布施社長は取材に「2社くらいにしぼられてくる。1~2カ月くらいで様子がわかる」。キリンが生き残るとしたら他一つはどこかと聞かれると、先行する強みがある「極ZEROでしょう」と話した。
1994年に登場した発泡酒は、350㍉リットル缶だとビールより60円前後安かった。麦芽の比率を少なくして税率を抑えたためだ。
だが、麦芽を使わなかったり、発泡酒に蒸留酒を混ぜたりして、税率をさらに安くした145円前後の「第3のビール」が2003年に登場。次第にシェアを奪われた。
本物のビールを含む「ビール系飲料」で、発泡酒のシェアは13%(今年上半期)。
「第3のビール」の3分の1ほどだ。今回、「プリン体ゼロ」「糖質ゼロ」の発泡酒が出そろうことで、再び発泡酒市場が盛り上がりそうだ。