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【講評】たのしいジジネタンカ 笹公人選「アイスバケツチャレンジ」

時事ネタを短歌に変換する「たのしいジジネタンカ」。題「アイスバケツチャレンジ」で募集した作品について、歌人の笹公人さんの講評です。

氷水をかぶる歌手のレディー・ガガさん=ユーチューブから
氷水をかぶる歌手のレディー・ガガさん=ユーチューブから

時事ネタを短歌に変換する「たのしいジジネタンカ」。題「アイスバケツチャレンジ」で募集した作品について、歌人の笹公人さんの講評です。

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チャレンジの後の氷はスタッフがとても美味しくいただきました (大阪府 中田美喜さんの投稿)

カメラの高さに合わせてカンペを出すアシスタントディレクター
カメラの高さに合わせてカンペを出すアシスタントディレクター 出典: 朝日新聞

テレビ番組の企画で大量に食材を使用したり、食べ物を粗末に扱った時に、
「この後スタッフがおいしく頂きました」というテロップが出ますが、
氷に関してはスルーなのか?という素朴な疑問が詠み込まれています。
人が頭からかぶって地面に落ちたあとの氷など、「かき氷」にしたとしても食べたくないですねぇ。
それこそスタッフ(AD)への虐待行為のように思います。

撮影後バケツ片づけ体ふき着がえてもまだなんだかサムい (東京都 中山一朗さんの投稿)

軒先に置かれた防火バケツ
軒先に置かれた防火バケツ 出典: 朝日新聞

アイスバケツチャレンジを実行した中山さんの歌です。
ふんどし一丁でチャレンジした中山さんの動画をたまたま拝見しましたが、迫力がありました。
本気でALS患者の力になりたいという想いが伝わってきて、イベント自体を見直す部分もありました。
しかし、この歌では、チャレンジした本人でさえも何かモヤモヤが残ったという、勇気ある告白をしています。
「サムい」がダブルミーニングになっているところがよかったです。

こおり水かぶるほかなきえらい人 つくり笑いにかこまれながら (埼玉県 むぎたうろすさんの投稿)

福岡市役所前広場で行われた福岡国際映画祭のオープニングセレモニー
福岡市役所前広場で行われた福岡国際映画祭のオープニングセレモニー 出典: 朝日新聞

数々のセレブたちによるアイスバケツチャレンジの動画が出回りました。
一部のセレブの人の動画から「セレブから指名されちゃう俺ってやっぱりセレブ」という
「まんざらでもない感」を感じとった人もいるでしょう。
そんな作者の違和感が「つくり笑い」という言葉に集約されています。
この動画の数々、数年後に見返したら文字通り凍りついてしまうかもしれませんね。

<選者紹介>

笹 公人(ささ・きみひと)
1975年東京生まれ。歌人。「未来」選者。
歌集に『念力家族』、『念力図鑑』、『抒情の奇妙な冒険』。
他に『念力姫』、『笹公人の念力短歌トレーニング』、
絵本『ヘンなあさ』(本秀康・絵)、和田誠氏と共著 『連句遊戯』、
朱川湊人氏との共著 『遊星ハグルマ装置』など。

イラスト・杉木ヤスコ

笹公人公式ホームページ

「たのしいジジネタンカ」は次回からお休みさせていただきます。投稿していただいた皆さん、ありがとうございました。

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