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なんという美しさ!極上オーロラ写真10選とプロが教える撮影テク
暑い毎日が続きますが、皆さんはどうやって暑さをしのいでいますか?
キンキンに冷えたビールを飲む、クーラーをガンガンに効かせた部屋から出ない、水風呂に浸る……。
体感的に暑さを吹き飛ばすのも良いですが、ここは気持ちの面で涼んでみるのはどうでしょうか。
ご紹介するのは、アラスカに通って14年のオーロラ写真家・堀田東さん(43)の珠玉の作品です。幻想的な美しい作品を見て、脳や心をクールダウンしていただければ。
写真はすべて堀田東さん提供
「春の足音が近づく3月。北極圏は、凍りついた川の表面が解け始める時期だ。バシンという氷が割れる音が時折、辺りに響き渡る中、22時半頃にオーロラは突然姿を現した。強くなったり弱くなったりを繰り返しながら、翌朝までオーロラの明かりは、融解し始めた川を照らし続けた」
「オーロラの明かりを頼りに、山を駆けあがりテントを張って、空を見上げる。遠くからの狼の遠吠えを耳にしながら、淡々と時を刻むオーロラの下でカメラのファインダーをのぞき、シャッターを切りつづけた」
「北極圏に暮らす人々が崇拝する岩山の麓でオーロラを待つ。岩肌に積もった雪が少しずつ解け、春が近づいていることを知らせてくれる。前夜に現れたオーロラは断続的に夜空を舞い続けて、午前3時を回ったころに紫色がかり、やがて星空に消えいった」
「暗闇の中、一向にオーロラは現れない。風もなく、ただ静寂と漆黒の闇だけが広がる中、突然、周囲が昼間のように明るくなった。振り返ると、大きなオーロラの渦が一体を照らしていたのだ。いきなり訪れた明るいオーロラは2分と持たず、暗闇へと消え、その晩、二度と現れることは無かった」
「北極圏内のブルックス山脈で月を囲むようにオーロラが空に上がった。南北に延びたオーロラのアーチは時に波を打つようにものすごい速さで明るさを変えていった。全天に広がったオーロラと月の饗宴は午前4時まで繰り広げられた」
「風はないものの、氷点下28度まで冷え込む中、オーロラは東の空から湧き出るように現れた。徐々に高度を上げ、東西にアーチを駆けるまでに成長し、3時間にわたって夜空で舞い踊った」
堀田さんは、大学卒業後、テレビ局や沖縄のホテルでの勤務を経て、フリーの写真家に。2001年3月、米国・アラスカに初めてオーロラの撮影に出かけた際、オーロラのブレークアップに遭遇して以来。その美しさに魅せられて、以降毎年、アラスカに長期滞在して撮影を続けています。
極寒の厳しい自然の中で撮影に挑むというと荒々しい方を想像してしまいそうですが、ご本人はとても気さくで、物腰も柔らかい方でした。
ちなみに堀田さんが毎年滞在するのは、アラスカ第2の都市フェアバンクスから北約400キロにあるワイズマンという、人口20人ほどの小さな集落。ロッジを借りて、拠点にしているそうです。
撮影には、ピックアップトラックで出かけます。石油を運ぶパイプライン沿いに道路が通っていますが、行き交うのは物資を運ぶトレーラーが大半。しかも冬季は完全に凍結して危険なので、大半のレンタカー会社は走行を許可しない道路だそうです。
ワイズマンの南約20キロには、コールドフット空港といういかにも寒そうな名前の空港もあります。ただ「空港」というよりも、雪原に飛行機が着陸するという感じです。
オーロラの撮影ですが、一般にシャッタースピードを15秒以上に調整できるカメラ、開放絞り値(開放F値)の小さなレンズを選ぶ方が良いといいます。あと長時間露光の撮影には三脚も必須です。堀田さんは「必ずしも一眼レフカメラでなくても、バルブ撮影できるカメラも増えています」と話しています。他にどんなコツがあるのか、聞いてみました。
堀田さんが薦めるのは、セルフタイマーの活用。「シャッターを押した時やミラーアップ時の振動を抑えられます」とのこと。なるほど!
「あと案外知らない方が多いのは、主に一眼レフカメラですが、気温でピント位置が変わります。撮影中も刻々と気温は変わるので、こまめな調整が必要です」
最後に撮影場所選びのコツは?
「構図が重要なので、高い場所で遠くまで見下ろせるような場所が理想ですね。でもこればかりは足で探すしかありません」
堀田さんは自身の作品をメディアや個展などで発表する一方、数年前からオーロラ観賞や撮影をメーンにした北極圏ツアーも主宰しています。昨季からは一般募集も始めているので、ご関心ある方は、堀田さんの公式ホームページでチェックしてみて下さい。