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お金と仕事

Kats Yoneshigeさんからの取材リクエスト

マクドナルドのチキンナゲットを、中国産でなく全て国産で作った場合、どれくらいコストが違ってくるのでしょうか



【取材リクエストに回答】中国製チキンナゲットって安いの?

中国製のチキンナゲットはどれくらい安いのか。リクエストにお応えして取材しました。

チキンナゲット。マクドナルドは中国製の鶏肉商品8種類の販売を中止し、タイ製に切り替えた
チキンナゲット。マクドナルドは中国製の鶏肉商品8種類の販売を中止し、タイ製に切り替えた 出典: imasia

目次

マクドナルドとファミリーマートに取材してみた

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取材リクエスト内容

中国産鶏肉の期限切れ混入問題が騒動になっていますが、仮にマクドナルドやファミリーマートのチキンナゲットを全て国産で作った場合、中国産と比べてどれくらいコストが違ってくるのか(衣の小麦粉や流通コスト等含め)、教えてください。 Kats Yoneshige

記者がお答えします!

 Kats Yoneshigeさんからこんな取材リクエストがありました。

 「中国産鶏肉の期限切れ混入問題が騒動になっていますが、仮にマクドナルドやファミリーマートのチキンナゲットを全て国産で作った場合、中国産と比べてどれくらいコストが違ってくるのか(衣の小麦粉や流通コスト等含め)、教えてください」

 ということで、調べてみました。
 

問題となった「上海福喜食品」のチキンナゲット製造ライン
問題となった「上海福喜食品」のチキンナゲット製造ライン 出典:ロイター

 使用期限切れの鶏肉を使っていたのは中国の「上海福喜食品」。商社を通じて、ここと取引していた「ファミリーマート」と「日本マクドナルド」に聞いてみました。
 
 まずはファミリーマート。
記者「チキンナゲットは中国で作るほうが安いのでしょうか?」
ファミリーマート広報グループ「個別の商品の仕入れ価格については一切開示しておりません」

 取引価格は、企業の最重要情報。やはり聞き出すのは難しそうです。

 ファミリーマートは上海福喜食品が製造した「ガーリックチキンナゲット」を124万800個販売しています。全国約1万店で、7日間で売った数です。
1日あたり18万個・・・ものすごい販売力です。

 

都内のファミリーマート店舗
都内のファミリーマート店舗 出典:ロイター

次に日本マクドナルド。

記者「チキンナゲットを日本で製造した場合と、中国で作った場合ではどちらがどれくらい安いのでしょうか?」
日本マクドナルドPR部「当社のチキンナゲットはすべて中国とタイで製造していました。日本で作っていないので、正確に比べられずお答えできません」

記者「中国製のほうが安いというのは間違いないでしょうか?」
PR部「コストはもちろん、安定供給や品質管理などを総合的に判断しています」

 こちらも具体的な価格は教えて頂けませんでしたが、中国製のほうがコストが安いことは間違いなさそうです。じゃあ、どれくらい安いの?

都内のマクドナルド店舗
都内のマクドナルド店舗 出典:ロイター

 振り出しに戻った感はありますが、チキンナゲットを輸入する都内の中堅商社に取材してみました。

商社幹部「価格?そんなの言えるわけない。報道されちゃうと、うちの価格が他社にばれちゃうから。相場への影響もあるし、申し訳ないけど言えません」

 困った。取材が行き詰まったか・・・・。ほかにも商社を何社かあたってみましたが、同じような反応でした。

 さて、どうするか。
鶏肉の取引現場に詳しくて、業界動向もウォッチしていて、今回の問題も踏まえて教えてくれるようなところはないか・・・・。

 そうだ!業界紙はどうだろう。
探してみると、ありました。「全国食鳥新聞社」(本社・東京)。ショクチョウシンブンと読むそうです。今回の取材にぴったりかも!

日本最強の専門紙

全国食鳥新聞社。毎月2回発行しているそうです
全国食鳥新聞社。毎月2回発行しているそうです 出典:全国食鳥新聞社の公式HP
チキン・ブロイラー産業を中心に食鳥肉(地鶏・銘柄鶏、合鴨、七面鳥、ダチョウなど)の生産から物流、販売までの業態に関わる業界人を対象とした業界唯一の食鳥肉専門紙です。
全国食鳥新聞社

 「業界唯一の食鳥肉専門紙」。これは詳しそう。さっそく連絡をとり、記者の高橋晶子さんに聞いてみました。

記者「チキンナゲットについて、中国製が日本製よりどれだけ安いか知りたいんですけど・・・」
高橋さん「大前提ですが、中国からは加熱加工していない鶏肉を輸入することは現在禁じられています。鳥インフルエンザの問題があったためです」
記者「なるほど」
高橋さん「冷凍鶏肉を輸入していないので、中国産の鶏肉の全体的な価格動向を直接つかむことは難しいんです」

 中国産鶏肉の価格が直接わからないなら、推計はできないだろうか?

 高橋さんによると、国産の鶏1羽からとれる「もも肉」と「むね肉」の割合は1対1。日本人にはもも肉が好まれるため、むね肉のほうが安く、7~8割程度が加工食品になるそうです。ナゲットやチキンボール、焼き鳥など様々です。

 で、国産の冷凍むね肉の価格は季節によって変わるけど、1キロ=400円くらいだそう。ブラジル産とタイ産が350円ほどなので、鶏肉だけを比べると海外勢は1~2割は安そうです。 さらに、冷凍もも肉で比べると、需要が高まる冬場には国産と輸入品の価格差が倍近くになることもあるそうです。 

中国の養鶏場
中国の養鶏場 出典:ロイター

記者「冷凍の鶏肉ではなくて、中国で加熱加工して輸入すると、価格はどれくらいに?」
高橋さん「貿易統計によると、5月実績では中国からの輸入量は約1万9千トン。単純計算では1キロあたり457円(船賃や保険料など含む)ですね。ただ、これにはナゲットだけではなく、串に刺さった焼き鳥などほかの加工食品も含まれています」

 なんとなく見えてきました。中国での1キロあたりの鶏肉価格は300~350円くらいで、これを加工して輸入すると460円くらいになる・・・。
でも、これがおおむね正しいとしても、結局、日本産と比べてどのくらい安いのでしょうか?

 さらに取材を重ねると、日本のある老舗卸売り会社の役員が、匿名を条件に話してくれました。

匿名を条件に

社名を出さないことを条件に、卸売り会社の役員が取材に応じてくれました
社名を出さないことを条件に、卸売り会社の役員が取材に応じてくれました 出典:imasia

記者「チキンナゲットって、中国製は日本製よりどのくらい安いんですか?」
役員「ナゲットって言っても、鳥をぶつ切りにしたのと、いろんなものを混ぜた練り製品とで価格は違うよ。中国製は練り製品が多いと思うけど、日本製と比べると3割以上は安いね。相場や状況で値段は変わるけどね」

 ということで、「中国製のチキンナゲットは日本製より3割以上安い」という取材結果にたどり着きました。
 個々の取引ごとに条件が異なるので全てに当てはまるとは言えませんが、ざっくりそれくらいの相場だそうです。小麦粉や流通コストという細かい点までは及びませんでしたが、だいたいの感覚は皆さんにお伝えできたでしょうか?

 withnewsは今後も皆さんの「知りたい」「モヤモヤ感」を少しでも解消すべく、取材します。FBやツイッターのアカウント↓をフォローして頂けると嬉しいです。

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