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たのしいジジネタンカ 笹公人選 題「ヤジ問題」
時事ネタを短歌に変換する「たのしいジジネタンカ」。題「ヤジ問題」で募集した作品について、歌人の笹公人さんの講評です。個性的な作品が集まりました。
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時事ネタを短歌に変換する「たのしいジジネタンカ」。題「ヤジ問題」で募集した作品について、歌人の笹公人さんの講評です。個性的な作品が集まりました。
ヤジられた側の被害者である塩村議員も過去のバラエティ番組出演時の発言などが取り沙汰されました。
彼と別れる時に慰謝料を1500万円貰ったとか……。
清楚なルックスとのギャップに青ざめた男性諸氏も少なくはないでしょう。
たしかに叩けばホコリが出る人ではありましたが、だからといって鈴木議員のセクハラヤジが許されるわけではありません。
加害者だけではなく被害者も過去の行状が暴かれて叩かれるという構造が、現代ならではで、鋭いところに目をつけていると思いました。「のりぴー」を名乗るだけはあります……。
セクハラヤジが最も似合う場所といえば「いにしえの温泉宴会場」で異論はないと思います。
温泉宴会場でセクハラヤジを飛ばす酔漢というのも、もはや懐かしの昭和の風景となりつつありますが、そんな昭和のギラギラオヤジが思いつきそうなヤジを議場で飛ばす議員がいたことに作者は驚いたのでしょう。
そして、ヤジを飛ばした議員たちがアナクロな感覚の持ち主であることも暗に示しています。
セクハラヤジ問題の塩村議員とヤジられもせずに号泣した野々村議員。
2大トピックが1首におさめられた、1粒で2度おいしい「合わせ技」系のジジネタンカです。
笹 公人(ささ・きみひと)
1975年東京生まれ。歌人。「未来」選者。
歌集に『念力家族』、『念力図鑑』、『抒情の奇妙な冒険』。
他に『念力姫』、『笹公人の念力短歌トレーニング』、
絵本『ヘンなあさ』(本秀康・絵)、和田誠氏と共著 『連句遊戯』、
朱川湊人氏との共著 『遊星ハグルマ装置』など。
笹公人公式ホームページ
イラスト・杉木ヤスコ