エンタメ
たのしいジジネタンカ 笹公人選 題「ふなっしー」
時事ネタを短歌に変換する「たのしいジジネタンカ」。題「ふなっしー」で募集した作品について、歌人の笹公人さんの講評です。個性的な作品が集まりました。
エンタメ
時事ネタを短歌に変換する「たのしいジジネタンカ」。題「ふなっしー」で募集した作品について、歌人の笹公人さんの講評です。個性的な作品が集まりました。
まず、この連載を無難に続けていくために言っておきたいことがあります。
「ミッキーマウスは世界に一人しかいませエエエアアアアアアアアァン!!
ヴァファァァァァン!!」(号泣しながら)
……取り乱してしまい、申し訳ありません。
きっとミッキーは、世界に5か所あるディズニーリゾートを
目には見えないルートで迅速に行き来しているのだと思います。
その事実を踏まえた上での「評」となりますが、
この歌は、ふなっしーの「中の人」の戦略の巧みさや独自性を
さりげなく言い当てているところが鋭いと思いました。
「ミッキー」と「なっしー」が韻を踏んでいるところもよかったです。
ヘッドバンキングや大ジャンプなどの激しい動きが魅力のふなっしー。
中の人は、1回のパフォーマンスでも相当な疲労を感じていることでしょう。
「肩で息をしている」という描写に、リアルな裏側(内側)の様子が窺えました。
公認キャラを務める「船橋のららぽーと」が詠み込まれているところもよかったです。
おもしろいところに目をつけています。
マスコミで、これだけ「梨」がクローズアップされたことは過去になかったでしょう。
「なし」という単語がこれだけ連呼されるのもテレビの歴史はじまって以来かもしれません。
ふなっしーの影響力恐るべしです。
「百年分」というのもリアルでした。
もしかしたら「百年」には、リアル梨界の王者「二十世紀梨」が暗示されているのかもしれません。
笹 公人(ささ・きみひと)
1975年東京生まれ。歌人。「未来」選者。
歌集に『念力家族』、『念力図鑑』、『抒情の奇妙な冒険』。
他に『念力姫』、『笹公人の念力短歌トレーニング』、
絵本『ヘンなあさ』(本秀康・絵)、和田誠氏と共著 『連句遊戯』、
朱川湊人氏との共著 『遊星ハグルマ装置』など。
笹公人公式ホームページ
イラスト・杉木ヤスコ