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ネイマール 第3腰椎突起のひび 経験者が語るその「痛さ」
サッカーワールドカップ、ブラジル代表のネイマールがけがをした第3腰椎の突起。同じ場所を骨折し3週間入院した記者が、どれくらい痛かったかを、医学的見地抜きで、報告する。
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サッカーワールドカップ、ブラジル代表のネイマールがけがをした第3腰椎の突起。同じ場所を骨折し3週間入院した記者が、どれくらい痛かったかを、医学的見地抜きで、報告する。
ネイマールが背後から飛びひざ蹴りをくらい、腰を押さえ、そのままグラウンドに突っ伏した。右手で顔を押さえたまま担架で運び出されるブラジルのエースの痛々しい姿を、ブラジル全土、いや全世界の観戦者が心配顔で見送った。
けがの部位は第3腰椎の突起。いわゆる背骨だ。そこにひびが入ったら、どれくらい痛いのか、本当に数週間で復帰できるのか、サッカーファンならずとも気になるところだ。
奇しくも10年前、同じ?「サッカー」で、同じ第3腰椎の突起を骨折し、3週間入院した記者が、どれくらい痛かったかを、医学的見地抜きで、報告する。
ネイマールがけがをしたときの状況は、多くの方がすでに映像でご覧になっていると思うので詳細は省く。
ようはパスを受けようとしたとき、コロンビアの選手に背後から飛びかかられ、ひざをおもいっきり背中にぶつけられた。
ネイマールはそのまま前のめりになって倒れ込み、手で腰を押さえたまま、一歩も動けず、担架で退場した。その後、第3腰椎の突起にひびが入っていると発表された。
背骨は椎骨が積み重なってできている。椎骨は、首の所は頸椎、胸の所は胸椎、腰のところが腰椎と呼ばれるが基本的に構造は同じ。上と下が平らなブロック状の頑丈な骨だ。
断面を見ると、真ん中に脳脊髄液に満たされた穴があり、そこを脊髄が首から腰まで通っている。脊髄は脳からつながる大事な神経の束だ。その脊髄が通る穴の周りに突起が三つ、外に向かって伸びている。そのどれがやられたのか不明だが、とにかくひびが入ってしまった。
記者が10年前にやってしまったのは第3腰椎の左横突起だった。娘と家の中で風船サッカーをしていて、自陣のゴールである玄関の上がりかまちから転落。90度の角に背骨を直接打ち付けてしまった。
最初に行った、今騒動の最中にある新宿区内の大病院の先生は、「折れてない」と言い、痛み止めの薬「ロキソニン」を3週間分、63錠もくれた。
しかし、薬を飲んでも痛みは少しも引かなかった。一夜明けると状態は悪化し、身体を少し動かすだけで、左太ももに、熱湯をかけられ、さらに電気でバチバチやられるような激痛が走った。
これはまずいと思い、同区内の整形外科に死ぬ思いでかけこむと、レントゲン写真を見た医師が、なぜか大阪弁で「これ、折れとんで」と言った。
CTスキャンの画像を見ると、あと数ミリで脊髄が通る穴がやられるところだった。画像を見たとき、「なるほど突起は脊髄を守るために三方に伸びているんだ」と勝手に思った。
記者の場合、太ももが死ぬほど痛かったのは、脊髄からそこに向かって伸びる神経の束が、折れた第3腰椎左横突起と第4腰椎にはさまれたからだった。
ネイマールの話に戻すと、彼の場合、3本の突起のどれにひびが入ったかは不明だ。本当にひびだけだったら、それだけでも痛いと思うが、記者のように下腿に伸びる神経の束を、ほかの骨との間ではさむということはないので、熱湯攻撃や電気攻撃のような激痛はないのかもしれない。
しかし、一歩間違えればやばい部位であることには変わらない。一流選手だから一流のドクターが診ているはずなので、まさか誤診ということはないと思うが、大事に至っていないことを祈るばかりだ。
腰椎の突起と言えば、日本女子ソフトボールの五輪代表の上野由岐子投手も、高校の体育の授業で折っている。走り高跳びでマットがずれていて、地面に背中から着地したと当時の新聞は書いている。その後の彼女の活躍をみると、一流の選手には、それほど復帰が難しいけがではないと考えられる。
ちなみに記者は、3週間の入院、2カ月弱の休業を経て無事社会復帰した。現役フラッグフットボール選手として50歳になったいまも、毎週ダッシュしたり、ボールをおっかけたりできている。
(報告:宮﨑知己)