話題
「三種の神器」、スペインにもあった
戴冠(たいかん)――。スペインの新しい国王フェリペ6世が6月19日、即位した。
この日朝の式典では、父親で前国王のフアン・カルロス1世から、赤い布製のベルトを腰に巻いてもらった。軍の最高司令官であることを示す、国王としての象徴だ。国会での宣誓にあたっては、王冠と王笏(おうしゃく、杖)が並べられた。
実際に戴冠したり、手に持ったりはせず、王位の即位、継承を印象づけるシンボルだ。ふだんは王宮で厳重に保管されているという。(パリ=青田秀樹)
還暦のちゃんちゃんこを連想しそうな、赤い布ベルト。駅伝のタスキのごとく、王位のリレーが続きます。
かつての世界帝国・スペインの王室は、波瀾万丈の歴史をたどりました。欧州随一の名門であるスペイン・ハプスブルク家が断絶すると、フランス・ブルボン家からフェリペ5世が即位。幾度かの共和制、独裁政治を経て、1970年代に王朝が復活しています。
日本の皇室に伝わる三種の神器は、剣、鏡、まが玉。皇位の象徴として、代々受け継がれています。門外不出で、今上天皇ですら触れられないとされています。
「三種の神器」という言葉は、国内景気を牽引(けんいん)する耐久消費財の比喩にも使われました。60年代には、カラーテレビ、クーラー、自動車(カー)が、新・三種の神器として、庶民の憧れでした。「3C」とも呼ばれ、高度経済成長のシンボルとなります。