川底から見つかった母の頭蓋骨 津波を前に「逃げられなかった」現実

高台まで歩けば5分という家でした

東野真和

右がフミノさん。介護をしていた孫の冨士子さんは今も行方不明になっている

東日本大震災からまもなく9年を迎えます。昨年2月、岩手県大槌町では、津波対策のための水門工事中に、川底から頭がい骨の一部が見つかりました。DNA型判定の結果、津波に流されて行方不明だった三浦フミノさん(当時89)の骨だと6月に判明しました。フミノさんの自宅は、5分歩けば高台があったのに……。そのことを知った私は、フミノさんは何かを伝えようとしているような気がしました。どんな人生を送り、どういう状況で亡くなったのか。遺族を訪ねると、社会的弱者の「逃げられなかった」現実が浮かび上がりました。

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