群馬県前橋市にある「るなぱあく」は“日本一懐かしい”をキャッチコピーとし、乗り物代が10円からと安価であることなどから、地域住民を中心に愛されている遊園地です。コスト増の時代に今も「値上げしない」理由について、運営会社に話を聞きました。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎)
群馬県前橋市にある遊園地「るなぱあく」。2023年の遊具利用の延べ人数は約140万人と、地域住民を中心に愛されています。
るなぱあくは1954年に前橋市政60周年を記念した児童遊園としてオープン。正式名称は「前橋市中央児童遊園」、キャッチコピーは「にっぽんいち なつかしい ゆうえんち」です。
2004年に市営から民間運営になり、るなぱあくの愛称が公募で決定されました。これは、前橋市出身の詩人・萩原朔太郎の詩にちなむものです。2015年から現在の指定管理者である株式会社オリエンタル群馬が運営しています。
敷地面積は約8800平方メートルと、サッカー場2面ほど。遊具にはメリーゴーラウンドやコースターなど大型のもの8基と、前後に揺れる木馬など小型のもの16台があります。
小型遊具のうち5台ある木馬は囲う建物も含めて国の登録有形文化財であり、稼働中の遊具で指定されているのはこれだけだそう。
開園は午前9時半で、閉園時間は季節で異なります。基本的には火曜日が定休日ですが、長期休暇の期間は毎日営業。ただし、荒天時は臨時休園の場合があります。
人気の理由の一つはその利用料です。入場料や駐車料は無料、大型遊具は1枚50円の利用券で乗れるほか、小型遊具は1回10円で乗れます。20年3月に大型迷路がオープンし、これは1コースあたり200円の利用料です。
コスト増の時代に、どうして値上げをせず、安価な利用料での運営を続けるのでしょうか。オリエンタル群馬の担当者は、その理由について「当施設は市所有の公共施設です」と説明します。
「地方自治法に基づく、指定管理者制度を活用し、弊団体が管理運営をさせていただいています。そのため、利用料金は制度で定められていることから、低価格の設定になります」
また、上記の制度に基づき、前橋市から年間を通じて指定管理料も支払われていると言います。同社が運営を引き継いでからは、キッチンカーや売店などの収入を含めて黒字化しているということでした。
同社が運営に関わる前、過去には何度も閉園の危機がありましたが、その度に市民からの閉園反対の要望が多くあった、るなぱあく。子ども連れで賑わう同園は、今日も乗り物に乗るたくさんの人の笑顔を生み出しています。