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「無垢な子どものやること」に騒然 眼球に指グサッ 謎行動の理由は

Xを騒然とさせた、幼児の「眼球に指グサッ」
Xを騒然とさせた、幼児の「眼球に指グサッ」 出典: ブラノーラさん(@CuBRNL)のX

目次

子どもが親の目に指を突き刺している、そんな衝撃的な画像がX(旧ツイッター)で話題になりました。そもそも、子どもはなぜ、目に指を入れたがるのか、専門家に話を聞くと、そこには、ちゃんと理由がありました。

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「指の深度が」

Xで話題になったのは、ブラノーラさん(@CuBRNL)が投稿した1枚の画像です。

《無垢な子供のやること恐ろしくてちょっと笑う》

写っているのは、幼児が左のひとさし指を、大人の目に突っ込んでいる様子。その深さたるや、第一関節ぐらいまで、まぶたの中に埋まっています。

「目に入れても痛くないほど」とはよく言ったものですが、実際に指を入れられている大人は、思わず苦悶の表情を浮かべています。

この投稿には「痛い痛い痛い」「指の深度が」「まったく容赦ない」とコメント欄にも衝撃が走る一方で、なかには「これすごいわかりみ」「子どもって目つぶししてきますよね!?」「うちもやられます!眼球とりにきます」と共感する声が一定数あり、11万件のいいねがつきました。

「ぽちぽちブーム」

ブラノーラさんに話を聞きました。

画像に写っているのはブラノーラさんの1歳1カ月の長男。最近、指が上手に使えるようになってきたところで、いろんなものを「ぽちぽち」押すブームがやってきているとのこと。

この日、長男がぽちぽちの対象に選んだのは、「パパ」でした。指を突っ込まれたパパは、必死に目をつぶって防御しました。ただ、1歳児の力なので、それ以上抵抗はせず、されるがままにしていたそうです。

多くの共感がついた、この幼児の「目つぶし」。筆者の1歳の長女も同じく、容赦なく目に指を突っ込んでくるタイプです。共通する謎行動の理由を、赤ちゃん学研究センターに問い合わせました。

答えてくれたのは、同志社大学脳科学研究科助教で、「赤ちゃん学研究センター」嘱託研究員・同志社女子大学嘱託講師の嶋田容子さんです。

ーーなぜ赤ちゃんは、目を触りたがるのでしょうか?

まず、「目」には興味をそそられる理由があります。ほかの動物と違ってヒトは「白目」の面積が多く、白目・黒目の動きをコミュニケーションに有効に使っており、そのため眼球への関心が特に強い、と言われます。

ーーヒトならではの理由で、目へ「興味」がむくんですね。

興味を惹かれる「目」が、親が居眠りすると隠れてしまい、しかもまぶたの裏でぴくぴく動いたりもします。赤ちゃんは、「まぶたをどけてもまだ目があるのか?(モノの永続性)」と確認したくて、まぶたをどけようとしているのかもしれません。

ーーなんか、かわいい……! そう思うと、ちょっと許せますね。

加えて、0歳の赤ちゃんは、触覚や固有受容覚の発達過程で、触ったり圧力を試したりする探索活動にはとても熱心です。眼球は質感が面白いので、たとえば「自分の手の指でどう押せば、微妙な弾力のある眼球がどんな圧を返すのか」など探索している可能性があります。探索という意味では、目だけでなく口や耳や鼻も同じく気になる対象だと思いますが。

ーー子どもの「ぽちぽちブーム」がまさにこれですね!

ぽちぽちブームの息子のほこさきは……
ぽちぽちブームの息子のほこさきは…… 出典: ブラノーラさん(@CuBRNL)のX

「興味の中心」はどこにあるのか?

ーー私の長女も、目を押すのが好きなのですが、人形も好きで、車のおもちゃよりも人形に手を伸ばします。これも眼球への興味と関係はありますか?

この場合、娘さんは「眼球」では無く「顔」に手を伸ばしていたのだと思います。赤ちゃんは生後すぐ「顔」や「顔らしき図形」にとてもよく注意を向けます。「ヒトと関わろうとする行動の基盤」として通じるものはありますが、先ほどお知らせした「目」への興味はとはまた別だと思います。赤ちゃんは、図に目玉が無くてもやはり「顔らしき図形」をよく見ますから。

ーー目つぶしをする子と、あまりしない子とがいるようですが、「目」に興味が強い子はどんな傾向があるのでしょうか。

人間の特性は複雑で、いわゆる発達障がいも最近は「スペクトラム」と言って、白か黒かではなくさまざまな傾向の強弱と考えられています。それがなぜか、どういう個人の特性の反映なのかは、正直、はっきりしていません。「個人差の理由」は、発達研究が比較的苦手とするところです。

社会的なもの(ぬいぐるみなど)に興味が強い子、車両関係に興味が強く、車やバスからごっこ遊びに発展する子など、傾向はあるように思います。でも、それぞれが何から来て何につながるのか、今のところは分かりません。いつもタイヤだけを回し続ける、などの極端な例だと社会性の低さと関連する場合があるのですが、一般的にはそうは言えません。車が大好きで人も好き、という子どももいます。

ーー眼球への好奇心。止めたくはないから我慢するけど、やっぱり痛い……。好ましい対処方法はありますか?

探索行動を止めずにおこうという親の我慢は子どもにとっては何よりの育ちの糧ですが、親の目に何かあったら大変です……。私自身もしばらく我慢して、どこかのタイミングで「いたっ」「痛いよー」と言うようにしていました。噓にならないよう、ちょっと痛いところまで我慢した気がしますが(笑) 

まだルールを理解させる年齢でも、叱る年齢でもないのですが、「悲しい」感じは共感として分かるので、赤ちゃんでも、たぶん手を引っ込めます。

別の行動にずらすのも良い対策ですね。「寝ている顔をなでなで」にすり替えることは、感覚遊びから社会的遊びへの大転換です。その面白さを発見してくれれば、そのうち「親の顔」とはそうやって遊ぶようになります。「触覚探索」は粘土でも用意すると、そちらで楽しんでくれるようになるかもしれません。

まずはその子が「顔に触れたかった」のか「眼球を見たかった」のか「眼球を押してみたかった」のか、「まぶたをめくりたかった」のか、「起きてほしかった」のか、興味の中心を見つけてあげると、次に繋がって楽しいと思います。

次こそは!

「謎行動に理由があった」ことをブラノーラさんに伝えると、「なるほど、確かにそのような認識はありそうで興味深いです。1歳になってから身体の細かいパーツに興味を持ち始め、私や夫のおへそも押してくるようになったのでその延長なのかな」とのこと。

筆者も、今度長女が目をつぶしに来たときは、その「理由」をよく見極めようと思います!

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