連載
#21 小さく生まれた赤ちゃんたち
「入園できず復職が難しい」「退職しパートに」早産した母親たちの声
1000g未満で生まれた赤ちゃんの親から、体験や思いが届きました
息子を800gで出産しました。もちろん周りにそのような低出生体重児で生まれた子はおらず、毎日泣いて息子が入院している病院に通いました。
母親はとにかく自分を責めて、情報もなくネット検索をしてまた不安になります。看護師さんはフォローしてくださいますが、ほかの低出生体重児のお母さんに会いたい、悩みを相談したい気持ちがとても強かったです。
ネット上でも低出生体重児のリアルな子育て話が見られたり、実際に話せたりするとものすごく心強いです。(長野県 女性 30代)
22週6日470gで出産しました。産前休暇はなく育休も予定日より4カ月早く出産したために4カ月早く開始され、終わります。
でも早く出産したからといって子どもは早く成長してくれません。
小さく生まれると医療的ケアが必要だったり、成長がゆっくりだったり、保育園に入園させたくても地域によっては入園ができなかったりと、仕事復帰したくてもなかなかできないのが現状です。
子どもが早く生まれても普通に生まれても、仕事をしないといけない事実は変わらないのに、入園できなくて仕事復帰が難しいことが多いです。(大阪府 女性 30代)
3歳になる娘は27週627gで生まれ、NICUに5カ月ほど入院していました。
退院後も歩けるようになるまで月1、2回のリハビリ。眼科(未熟児網膜症)や小児科(発達のフォロー)はまだ2、3カ月に1回通院しています。
発達はゆっくりめですし、体格もだいぶ小さく、心配や不安は尽きません。でも毎日娘の成長に驚きやうれしさも感じています。
1歳で職場復帰しましたが、子どもの通院が多かったり、体調を崩しやすかったりで結局退職し、パートとして勤務しています。
入院中の支援はもちろん、退院後も様々な問題があることを、たくさんの方に知っていただきたいです。(埼玉県 女性 30代)
息子は26週704gの緊急帝王切開で生まれました。命の危機があると言われたものの、今では元気な小学校1年生です。
予定日は6月でしたが、3カ月の早産だったので3月に生まれたため自動的に学年も繰り上がってしまいました。
低出生体重児、しかも3月生まれ。就学するとき体も筋力も4歳児並だったので、就学猶予(就学義務の猶予)制度を使って1年就学を遅らせることも考えました。
ですが、本人は「お友達と一緒に小学校へ行きたい!」と思っていたので、そのままの学年で小学校へ入学しました。
たくさんの方が低出生体重児の知識を持ち、理解をして頂けると、生活する上でも楽になる気がします。(埼玉県 女性 40代)
6年前、23週1日で520gの子を産みました。その頃わたしは21歳で何も分からず、ただただ苦しみ、ケアもほぼなく、調べながら自分なりに子どもを育ててきました。
娘は片道2時間かかる病院に入院していたため、ガソリン代が1カ月で万を超え、毎日会いに行きたいけど、金銭面も大変でした。
病院の先生、看護師さんが親の私たちが行けない時にたくさん愛情を注いでくれたことは、感謝しきれません。(福島県 女性 20代)
26週1日345gで出産した娘は、8カ月入院しました。
小さく生まれたことで気管支が細く、肺機能が未熟です。さらに2回入院しました。
離乳食も食べずだったので、食べてくれるようになるまでは粉ミルクと病院から処方された栄養剤で大きくなりました。
また、小さく生まれたことによる低身長とも診断されたので、今は成長ホルモンの治療もしています。
とにかく情報がほしかったです。赤ちゃんのときは、母子手帳や育児本に書いてある一般的な成長から外れていたので、自分で判断するしかありませんでした。小さく生まれた子向けの母子手帳が、もっと認知され広がってほしいです。(千葉県 女性 30代)
息子は24週2日734gで生まれました。もともと羊水が少なく出血もあったため、20週から入院していました。
131日の入院を経て退院し、今は2歳1カ月になります。やはり体格差は感じ、腕も細くおなかも細いのでズボンが落ちてきてしまうことがあります。
慢性肺疾患ということもあり、退院して半年ぐらい在宅酸素の生活をしていました。そのときは周りの目が気になってなかなか外出できずにいました。
今は元気に成長してくれているのですがこれから幼稚園に入園して集団行動ができるのか、風邪をひいて重症化しないか不安で仕方ありません
幼稚園・保育園の先生方にも早産について理解してもらえるといいなと思います。(山形県 女性 20代)
2500g未満で生まれる赤ちゃんは、「低出生体重児(ていしゅっせいたいじゅうじ)」と呼ばれます。日本人の平均出生体重は約3000gですが、約10人に1人が2500g未満で小さく生まれており、その割合は近年横ばいです。
低出生体重児の中でも、1500gに満たない赤ちゃんは「極(ごく)低出生体重児」、1000gに満たない赤ちゃんは「超低出生体重児」とされ、小さく生まれるほど病気や障害のリスクは高くなると言われています。
人口動態統計によると、2022年に生まれた日本人の子どもは77万759人。そのうち、低出生体重児は7.3万人(9.4%)で、1975年の5.1%から増加しています。極低出生体重児は0.7%、超低出生体重児は0.3%でした。
小さく生まれる背景には、早産や、双子などの多胎児の増加、妊婦への体重制限(やせ)や病気などが関係していますが、はっきりとした原因が特定できないこともあります。
背景のひとつである早産は、年間およそ20人に1人と言われています。早産は予防できるものではなく、母親が何かをしたから早産になるということではないそうです。
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