ネットの話題
「こんな音でんの!?」ペットボトル、こすって「第九」を奏でる動画
「全く現実感がありませんが、現実です」
空のペットボトルをこすってベートーベンの「交響曲第9番(第九)」を奏でる。意外な〝楽器〟の演奏動画がSNSで話題です。ペットボトルからは想像できない音色が、多くの人を魅了しています。
「全く現実感がありませんが、現実です」というコメントとともに、ツイッターに投稿された一つの動画。
板の両側に取り付けられた9本の空のペットボトルを手でこすり、ベートーベンの「交響曲第9番」を演奏する様子が流れています。
音を聞いてびっくり。まるで弦楽器のような音色です。
ツイートには、「こんな音でんの!?」「作りたい!」「発想と技術が凄い」といったコメントがつき、動画は100万近く再生されています。
全く現実感がありませんが、現実です pic.twitter.com/WAR15ejjnI
— kajii創@手作り楽器 (@kajiisou) May 23, 2023
動画を投稿したのは、日用品や廃品を使って楽器を作っている創(そう)さん(@kajiisou)です。2人組の日用品演奏ユニット「kajii」として、各地でコンサートを開いています。
かつてはドラマーを目指していた創さん。身の回りのもので楽器を作り始めたのは、10年ほど前のことです。
元シンガー・ソングライターの相方・クマーマさんが「アットホームな雰囲気のライブをしたい」と、リハーサルに五つほど食器を持ってきて、演奏に使ったことがきっかけでした。
「誰でも知っている身近なものから出る意外な音を聞いたとき、僕の心が動いたんです」
「上手に演奏する、うまく歌うとは違う次元のおもしろさで、子どもにも伝わるおもしろさではないかと思いました」
創さんはそれまで、自分と人とを比べて一喜一憂することがありましたが、活動を始めてからは人と比較することなく、好奇心のまま新たな音の発見に没頭しているといいます。
今回動画で紹介したのは、ペットボトルに空気を入れて板に取り付けた「エアコーク」という楽器です。
もともと打楽器として作られたエアコーク。ペットボトルの口に自転車用のバルブを取り付け、空気入れを使って空気の量を調節しています。
名前は創さんオリジナルですが、空気を入れたペットボトルをたたくといい音が出るということは、〝創作楽器〟を作る人たちの間では知られていました。
創さんがこだわったのは配置です。
「お客さんからも見えるような配置を考えて、いろいろ試した結果この形にたどり着きました」
打楽器であるエアコークを、なぜこすろうと思ったのでしょうか?
「『グラスハープ』というワイングラスをこする楽器が好きで、ほかにもこすっていい音が出るものはないか、ずっと探していたんです」
グラスハープは、ぬれた手でグラスの縁をこすって摩擦で音が出る仕組み。エアコークも、ぬれた手でこすることによってきれいな音が出ます。
この発見をすぐ動画を撮ってツイートすると、大きな反響を呼びました。
「僕のように楽器を作っている人間からすると大発見でしたが、音楽に詳しくない方も含め多くの方が『おもしろいね』と言ってくれてよかったです」
「たたく動画もたくさん出してきましたが、こする動画のほうが反応がよかったので、こっちの奏法をメインにしてもいいのかもしれません」
創さんは、日用品を使った楽器の魅力について「既存の楽器には出せない音が出せたり、新しい音楽の発見につながったりする」と語ります。
今後の目標は、「創作楽器のプレイヤーを増やして、楽団をつくること」。楽器そのものや演奏への反応に手応えは感じるものの、現状ではプレイヤーの増加につながっていないそうです。
「いろんな人と新しい楽器を使って、今までになかった音楽を作る」ため、創さんのチャレンジはまだまだ続きます。
昨日の動画、めちゃくちゃ反響をいただいたので解説してみました。
— kajii創@手作り楽器 (@kajiisou) May 24, 2023
エアコークについて詳しくはこちら!!
販売やレンタルもしてますよーhttps://t.co/x6ziT6kU87 https://t.co/iz3IH4y3Aw pic.twitter.com/yXC1KUllTA
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