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これぞ理系完全食?「キムワイプラーメン」の衝撃、毒々しさも魅力に

〝御法度解禁〟への思い、公式に聞く

理系民におなじみの「キムワイプ」関連のエイプリルフール企画に、注目が集まっています。
理系民におなじみの「キムワイプ」関連のエイプリルフール企画に、注目が集まっています。 出典: 日本製紙クレシア提供

目次

2023年4月1日、エイプリルフールに合わせた〝嘘〟投稿が、ツイッター上にあふれました。このうち、実験時などに用いられる拭き取り用紙「キムワイプ」公式アカウント(@kimwipes_crecia)のツイートが、衝撃を呼んでいます。商品をモチーフとした、予想外の食べ物の画像を公開したのです。ファンたちを震撼(しんかん)させた一品の誕生背景に迫りました。(withnews編集部・神戸郁人)

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どんぶり上に現れた緑の同心円

「本日の日替わり麺は #キムワイプラーメン@クレシア社員食堂」。1日午前0時過ぎ、そんな文言と共に、一枚の画像がツイートされました。

最も目立つのが、ラーメン入りのどんぶりです。真っ白なスープの上に浮かぶ、切り刻まれた薄緑と濃緑の葉物野菜。それぞれの層が同心円状に重なり、4分割したバウムクーヘンの一切れのように見えます。

左上には食紅で着色した真っ青なゆで卵。キムワイプの主力品「S-200」と思われる箱の柄をあしらった、正方形ののぼり旗が刺さっています。そして右横のチャーシュー上に、白い文字で「キムワイプ」と書かれた海苔(のり)まで置いてあるのです。

どんぶり全体を見渡してみると、キムワイプの外観そっくりであることに気付きます。傍らには、シャーレ入りの薬味や、ジュースで満たしたビーカーなども添えられており、主なユーザーである研究職の人々を意識した組み合わせです。

「NaCl(塩)控えめ」「2510kJ(キロジュール=約600キロカロリー)」。化学好きなら思わず反応してしまいそうな説明文も相まって、投稿には「とてもおちゃめ」「ぶっちゃけ毒々しいけど食べてみたい」などの感想が連なりました。

商品に対する偏愛がヒントに

今回のアイデアは、あくまでジョークです。実際に提供されている食品ではありません。一体、どういった経緯で生まれたのでしょうか? キムワイプの製造・販売元企業、日本製紙クレシア(東京都千代田区)の担当者に話を聞きました。

キムワイプと言えば、一般的なティッシュと比べて、毛羽立ちが少ないことが特長です。繊細な取り扱いが求められる、ガラス製実験器具の拭き取りなどに重宝されています。

一方、熱心な製品愛好家も少なくありません。中には思い余って食べてしまう人も。もちろん、公式には決して推奨されない行為です。しかしこうした状況を受けて、過去には「キムワイプおいしい」というネットミームまで登場しました。

「ラーメン」は、一連の事情を逆手に取った発想。担当者によると、制作時、特に意識したのが箱のデザインです。濃さと径が違う緑色の円を2つ重ね、均等に切り分けたような形状を模倣するため、似た色合いの食材を選定しました。

「濃い緑色と、薄い緑色のコントラストがちょうどよく出るよう、(配置などを)考えました。丸いどんぶりの上に、(円を重ねた)『キムワイプカーブ』を再現することが最も難しかったです。形の調整に、一番情熱を注ぎました」

メインの野菜は外円がほうれん草、内円がわかめとのこと。中心の空白部分に刻みネギも使っています。4月1日夕方にツイートされた解説画像では、ネギが学名の「Allium fistulosum」と表現されており、理系民の心をくすぐる仕様です。

4月1日夕方にツイートされた、「キムワイプラーメン」などの解説画像。
4月1日夕方にツイートされた、「キムワイプラーメン」などの解説画像。 出典: 日本製紙クレシア提供

〝ネタ〟を裏打ちする真摯な思い

ちなみに同社は過去のエイプリルフールにも、キムワイプに着想した飲食物の画像をツイートしてきました。箱形の「キムワイプケーキ」(2020年)や、牛乳パックに入った緑色の「飲むキムワイプ」(2021年)が代表的です。

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これまでの例は、お菓子やジュースなど甘味をイメージしたものばかりでした。ラーメンは初めての試みです。担当者いわく「カフェを開く将来を妄想した結果、主食系の食べ物が不足していると感じた」ことが考案の理由なのだといいます。

なおラーメンの横に、キムワイプの箱と同じ柄の牛乳パックが見えますが、2年前の4月1日企画向けに作られたものです。甘い炭酸飲料に食用色素を混ぜた黄緑色の液体に満たされ、商品のイメージカラーを全面に押し出す構成となっています。

そもそも、キムワイプは拭き取り用紙。先述の通り、口に入れることは御法度と言えます。1日限定とはいえ、その禁をあえて破るのは、商品を愛用している人々に元気と親近感を持ってほしいという願いゆえです。

真摯(しんし)な思いが伝わり、画像が好評を博した点について、担当者は次のように話しました。

「今年もたくさんの反応をいただき、全て拝見しております。一つひとつのコメントへのお返事が叶わないことをお許しください。引き続きキムワイプを始め、日本製紙クレシアの商品を皆様にご愛用いただけるとうれしいです」

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