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「食用キムワイプ」ついに発売!?こんな時こそ…ほっこりツイート
ファン待望の一品、とうとう開発成功か…!?
実験などで使う拭き取り用紙として、理系学生にとってはなじみ深い「キムワイプ」。ファンの中には、情熱のままに「食べて」しまう人も……。この状況を逆手にとり、製造元企業が投稿したツイートが話題です。エイプリルフール用の「ネタ」して生まれたという、つぶやきの背景について、担当者に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
製造・販売を担う日本製紙クレシアによると、キムワイプは「産業用ワイパー」の一種です。毛羽立ちが少ないため、研究機関などで実験器具の拭き取りに使われています。
この商品に関し、同社が運営する、キムワイプの公式ツイッターアカウント(@kimwipes_crecia)は1日、次のようにつぶやきました。
「日本製紙クレシアは『食用キムワイプ』の生産・発売に成功したことを報告いたします」
「商品説明や食用上の注意をよく読み、ご納得いただいたうえで購入をお願いします!」
日本製紙クレシアは『食用キムワイプ』の生産・発売に成功したことを報告いたします。
— キムワイプ【公式】 (@kimwipes_crecia) April 1, 2020
商品説明や食用上の注意をよく読み、ご納得いただいたうえで購入をお願いします!
キムワイプ愛は、キムワイプ公式ツイートに対し【1いいね♡=1キムワイプ愛】となります。
商品レビューはリプにお願いします♪ pic.twitter.com/1F7e90nVeg
ツイートには、通販サイトの商品紹介ページのような画像を添付。緑色の背景に白抜き文字で「食用キムワイプ」と書かれ、その下には主力商品「S-200」の箱と思われる、四角い物体が写り込んでいます。
シンボルである黄緑と深緑のラインも入っていますが、縁が波打つなど、ちょっと不自然なデザイン。「拭き取り能力無し」「ほんのり理系風味」「お召し上がり後、満腹中枢が刺激され実験中に眠くなる恐れがあります」。説明文も、どことなく脱力系です。
実はこの商品、エイプリルフール用に作られたケーキだったのです。
「夢の新製品」「飲用キムワイプはないですか」。ツイートには好意的なコメントが多数寄せられました。3日時点で1万以上の「いいね」がつき、リツイートも5千回を超えています。
遊び心あふれる企画は、どのようにして生まれたのか? 日本製紙クレシアを取材しました。
担当者によると、きっかけは新型コロナウイルスの流行です。行事の自粛を強いられるなど、生活が普段と一変する中で、一瞬でもほっこりして欲しい。そんな思いから、ツイッターアカウントのフォロワーに向け、発信しようと思ったといいます。
SNS上では、商品への愛情がほとばしるあまり、「料理」する人が少なくありません。「キムワイプおいしい」というワードが飛び交うこともしばしば。もちろん、メーカーからすれば非推奨の使用法です。しかし今回、この流れにあえて便乗することにしました。
「研究開発に携わる皆さんが、リフレッシュする時間に、キムワイプをネタにして下さっている。それは非常に嬉しいことでした。頭のどこかにキムワイプが潜んでいるわけですから! 一生に一度乗っかるなら、4月1日しかない。そう思い、一日限定で決行しました」
ケーキを作る上で意識したのは、ざらざらとした質感を表現すること。キムワイプが、ざらついた触り心地であることが理由です。製法について尋ねてみると、「企業秘密のため非公開としたい」との回答が返ってきました。
「あの触感を再現でき、涙が出るほどうれしかったです。しかし、ツイートの画像では全く伝わらないことが悔やまれます……」
説明文にも、こだわりが表れています。
「通常であれば、食べることがかなわないキムワイプ。感極まって、大事な実験機器を『食用キムワイプ』で拭いてしまうと、一般のキムワイプを大量に使わせてしまう恐れがありました。そのため、『拭き取り能力がない』ことを、2回表記させて頂きました」
画像については、日常になじむデザインがよいとの発想から、ネットショップのような体裁を採用。「思わずポチりたくなる」ものを目指したそうです。
結果的に、1万以上の「いいね」を集めた今回のツイート。約2年半前にアカウントを開設して以来、過去最高の反応だといいます。
コメントの中には、「キムタオル」といった、同社が扱う別の産業用ワイパーでも再現して欲しい、との声も。ユーザーとの交流を深める好機になったようです。
話題を集めたことについては、次のように語りました。
「このツイートをネタに、オンラインで仲間とワイワイ盛り上がって頂けたなら、『キムワイプ冥利』につきます」
「キムワイプは昨年、誕生から50周年という節目を迎えました。これからも精一杯、皆様に寄り添っていきたいと思います」
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