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ネットの話題

「飲むキムワイプ完成」公式のツイートに歓喜「のどごしザラザラ」

「公式」の素敵すぎる悪ノリ

エイプリルフールに投下された、奇妙な「キムワイプツイート」が話題です
エイプリルフールに投下された、奇妙な「キムワイプツイート」が話題です 出典: キムワイプ【公式】のツイッター(@kimwipes_crecia)

目次

毛羽立ちにくく、実験用具の拭き取りなどに使われる紙製品「キムワイプ」。理系の学生や研究職員を中心に、根強い人気を誇っています。その製造元企業が、4月1日に投稿した「報告ツイート」が、大いに話題をさらいました。ファン心理を熟知し、見事くすぐることに成功した企画について、背景事情を取材しました。(withnews編集部・神戸郁人)

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衝撃的な一文「のどごしザラザラ!」

製造元の日本製紙クレシア(東京都千代田区)によると、キムワイプは、工場や医療機関で使われる「産業用ワイパー」の一種です。米国企業が開発し、日本では1969年に製造・販売が始まり、現在に至ります。

その商品について、同社の公式ツイッターアカウントが1日、こう投稿しました。「『飲むキムワイプ』の開発に成功しました!」

文面では、次のような調子で、商品について説明しています。「キムワイプから抽出した、キムワイプエキスをふんだんに使った」「本日限定の販売となります」

添付の画像には、1リットル入り牛乳パックの写真が。主力商品「S-1000」の箱にあしらわれている緑色のラインや、「キムワイプ」の文字が表面に見えます。

それだけではありません。「のどごしザラザラ!」「拭き取り能力無し!」など、何とも味わい深い言葉が、画像の中で踊っているのです。キムワイプの特徴である、ざらついた感触と、拭き取り機能を踏まえているのでしょうか。

謎スイーツ「キムワイプリン」のレシピも

後続のツイートは、更に意外な内容でした。「飲むキムワイプ」を使ったスイーツ「キムワイプリン」のレシピを、惜しげもなく披露しているのです。

完成時のイメージ写真は、その名の通り、牛乳を固めたプリンのような見た目。てっぺんから下方に向かい、濃さが異なるグリーンの層が同心円状に広がり、キムワイプの箱を思わせる色合いです。

そして材料欄を読むと、グラニュー糖やゼラチンなどの名前が目に入り、いかにも本格的に思えます。しかし、併載されている手順書が、何だか奇妙なのです。

ボウルに注いだ液状キムワイプを、実験器具の「ピペット」でかき混ぜたり、なぜか紙のキムワイプをひとつまみ加えたり……。違和感を抱いたであろう、多くの読者を尻目に、「プリンカップに入れ冷やす」工程に触れ、説明は淡々と終わってしまいます。

「飲めるなんて、最高の進化」「どういうことだろう」。一連のツイートを見た人々からは、戸惑いと称賛のコメントが相次ぎました。「1リットルの液体をピペッティングする(混ぜる)のはつらい」など、化学の現場を知る人物の感想も届いています。

「キムワイプリン」と名付けられた、謎のスイーツのレシピも公開された。
「キムワイプリン」と名付けられた、謎のスイーツのレシピも公開された。 出典:キムワイプ【公式】のツイッター(@kimwipes_crecia)

ファン本位の企画を打ちたかった

今回の投稿内容は、もちろん「うそ」です。商品化の予定もありませんが、1万以上の「いいね」を集め、リツイート回数も同等に上りました。投稿には、どういった狙いがあったのか? 日本製紙クレシアの担当者に聞きました。

キムワイプを巡っては、日々使用する中で、並々ならぬ思いを注ぐ人々が少なくありません。食べたいほど愛している、または実際に食べてしまうことを指す、「キムワイプおいしい」というネットミームまであるほどです。

同社もこうした事情を把握し、昨年のエイプリルフールには「食用キムワイプ発売」と銘打ち、商品をかたどったケーキの写真をツイートしました。冗談であるにせよ、愛用者に楽しんでもらえるものにしたい。そんな気持ちから発案したのです。

担当者は、今年の4月1日にも、ユーザー本位の企画を打つべく検討を進めました。その結果、「ファンが『飲むキムワイプ』を求めているのでは」と思い至ったといいます。

「弊社には、紙パックの製造や研究を行っているグループ会社があります。たまたまご縁をいただく機会があり、ピンときました。他社の協力を得ることで、オリジナルのキムワイプパッケージを作りたいと考えたんです」

デザインを決めると、特殊な機器を使い、本物の牛乳パックに直接プリントしました。ちなみに組み立て作業は、担当者が手ずから進めたそうです。

【関連記事】「食用キムワイプ」ついに発売!?こんな時こそ…ほっこりツイート

「プリン屋さんからの連絡を期待」

ツイートした画像にも、商品への愛着を持つ人々に響く表現を、ふんだんに盛り込みました。

商品説明にある、「のどごしザラザラ」といった言葉選びは、とりわけ象徴的です。「その方がファンがクスッとなってくれると信じた」と担当者。そして同じ画像に配した「818円(税込み)キムワイプ愛!」という一文にも、特別な感情を込めています。

「『818』は『ワイパー』、つまりキムワイプを含む、産業用ワイパーの語呂合わせです。キムワイプ愛さえあれば手に入るよ、というメッセージを表現しました。ただ、値段表記とするとわかりづらいため、『円(税込み)』に二重線を引き消しています」

加えて文章のフォントや、画像を囲む枠線のデザインを工夫し、あえて「チープさ」を演出しました。それは、キムワイプの箱を始めとした関連デザインが、手作り感あふれる素朴なものだから。商品の特性を全面に打ち出したい、という思いの結晶と言えるでしょう。

ところで「キムワイプリン」の調理手順書には、飲むキムワイプとおぼしき液体の写真が登場します。もしや原料にも、隠された秘密があるのでは?

担当者に疑問をぶつけてみると「キムワイプエキスであること以上は、申し訳ありませんが企業秘密です!」

今回の企画を通じ、キムワイプのファンはもちろん、商品を知らなかったという人も好反応を示しました。こうした状況について、担当者は次のように話しています。

「エイプリルフールをきっかけに、キムワイプのことを思って頂けるだけでもうれしいですね。想像以上の反響があったので、グループ会社と一緒に、ワクワクするような企画を検討中です」

「そして一連のツイートを見た、プリン屋さんやお菓子屋さんから、キムワイプリン商品化のオファーが来ないかな……と、ひそかに期待しています」

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