IT・科学
「だってAIが言ったから」「AIだけが友達」…リスク学べるかるた制作
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「これって常識? それともバイアス?」「見守っている それともほんとは見張ってる?」……。そんな独特な読み札の「かるた」を、富士通がつくりました。ChatGPTなどのAIツールを使うときに気をつけておきたいことが楽しく学べる内容で、ホームページで無料公開されています。制作の経緯を取材しました。
かるたを作ったのは、ITサービスを提供する富士通です。通常のかるたと同じで、「あ」~「ん」までの46音の読み札と絵札があり、遊び方も変わりません。特徴は、絵札の裏面の「解説札」です。
例えば、読み札の「う」は「うのみにすると間違いだらけ!?」。対になった解説札には、「事実と異なる情報をあたかも真実かのように生成する可能性がある」と書いてあります。
その対策例として「正誤判断が困難な未知の情報は、生成AIに質問しない」「生成AIだけに頼らず他の情報媒体を用いる」とアドバイスします。
読み札には他にも「うんうんと 言ってくれる AIだけが僕の友達」「おばあちゃん おれだよ ディープフェイクだよ」といった身近な事例が盛り込まれています。
こうしたかるたの内容は、政府が作った「AI事業者ガイドライン」を参考にしています。AIの開発・提供・利用において必要な取り組みについての基本的な考え方をまとめたものです。
ただ、ガイドラインに並ぶのは「公平性」「透明性」「アカウンタビリティ」といった抽象的な概念ばかり。
富士通のAI倫理室では、AIを研究・開発し、そのサービスを提供する企業として、こうしたAIの活用時に知っておくべきことを社内外の研修などで伝えてきました。
どうすればよりわかりやすく伝えられるか、と考えたときに思い浮かんだアイデアがかるただったそうです。
枚数も適当で、多くの人になじみがあり、何より遊びながら学ぶことができるという良さが決め手となりました。
AI倫理は、技術的・科学的な視点に加え、プライバシーの保護や著作権といった法的な視点、バイアスの排除や雇用への影響といった社会的・経済的視点も欠かせません。
そのため、社内のビジネスや研究開発、法務など、様々な部署にかるたの内容を確認してもらい、多角的な視点を反映しました。
それぞれの札で、AIのリスクを正しく認識した上で、便利に使ってもらうための対策例を企業・一般消費者別にまとめました。
かるたとしても楽しんでもらおうと絵札のデザインはイラストレーターに依頼。可愛らしいキャラクターの「AI君」が随所に登場します。
約9カ月の制作期間を経て、昨秋にインターネット上で無料公開。パッケージ版(非売品)を使って、これまでに計100社ほどの研修で活用したそうです。
かるた作りを提案したAI倫理室の久保田千晴さんは「AI倫理は難しいと感じている方にこそ手にとっていただきたいです。札の中には解決策が一つではない問いも含まれています。かるたを通してAI倫理について議論し、状況に応じた答えを見つけていただけたらうれしいです」と話しています。
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