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「年末ジャンボ買わなきゃ」な総額〝3400万円超〟の住宅地図とは
「住宅地図帳全冊買うと3400万円超え」――。そんなツイートが反響を呼びました。情報密度の高い地図で、「年末ジャンボ買わなきゃ」の反応も。どんな地図なのでしょうか。
ツイートは、今年11月。2万件を超える「いいね」が集まりました。
投稿主は、住宅地図を発行する「ゼンリン」(福岡県北九州市)です。
#大事な事なので5回言います
— 株式会社ゼンリン (@ZENRIN_official) November 21, 2022
住宅地図帳全冊買うと3400万円超え
住宅地図帳全冊買うと3400万円超え
住宅地図帳全冊買うと3400万円超え
住宅地図帳全冊買うと3400万円超え
住宅地図帳全冊買うと3400万円超え pic.twitter.com/4lgVVOONau
ゼンリンの住宅地図には、建物の名前や番地といった住宅関連の情報のほか、バス停や一方通行などの道路交通情報も表示されています。
ぎっしりと情報が詰まった地図で、配送業者のみならず、自治体、不動産、金融、インフラ整備など、さまざまな業界で重宝されています。ツイッターにも、「ゼンリンさんの住宅地図ないと仕事にならない」といったコメントが寄せられました。
地図は、全国の1741市区町村をカバーしています。地域によって複数冊に分かれているため、ゼンリンによると、全部で2163冊あるそうです。その総額(税込み価格)が、ツイートの「3400万円超え」です。
こうした情報の密度に、時節柄も加わったからか、ツイッターでは、「年末ジャンボ買わなきゃ」「宝くじ当たったら、全冊まとめ買いします」などの反応もありました。
同社は、ほかにも例えていて、総重量は、キリン2頭分だそう。住宅地図(B4版)のページを全部広げた面積は、東京ドームに相当するのだとか。
ゼンリンは、1948年(昭和23年)に大分県別府市で創業しました。
翌年には「年刊別府」を発行。これが思わぬ方向へと転がります。
「観光振興を目的とした小冊子でしたが、読者から評価されたのは観光スポットの紹介記事ではなく、付録としてそえられた精巧な市街地図でした。地元の商店街からは『うちの店も載せて!』と依頼が殺到しました」
そこで創業者が「地図は添え物ではなく、むしろ最も重要な情報源である」と考えるようになり、住宅地図の発行に至ったそうです。同社初の住宅地図は、1952年(昭和27年)に発行しています。
こうして全国へと展開していったゼンリンの地図。同社は「全国47都道府県全てに事業所(70拠点)があり、各拠点で日々調査を行っています」とします。
そうなると、気になるのは確認方法です。ツイッターでは、「もしかして、徒歩で調査してるんですか?」というリプライに「もしかしてですね」と答えています。
取材で調査方法を尋ねると「徒歩調査から車両調査まで、目的に応じて様々な形で調査を実施しています」と回答がありました。同社によると、詳細な道路情報や建物の高さなどの情報を取得する際には、高精度の計測車両を活用した車両調査を実施しているとのことです。
ただ、やはり徒歩調査が肝のようです。
「変化の多い都市部では1年に1度、それ以外の地域では2~6年に1度のペースで、徒歩による調査を行っております」とゼンリン。建物の看板や表札、信号の位置や名称、道路や橋の名前と「現実世界を構成する様々な情報」(同社)を徒歩で集めているとします。
前回調査時から変更がないか確認し、新しい建物や道路がある場合は、情報を更新していくのです。
調査人数や期間については「非公開」とのことでした。
「細い路地など、公道上であっても車では調査が困難な場所が、日本全国には多く存在します。徒歩での調査を行い、街中をくまなく調査することで、地図データベースの網羅範囲を広げられていると考えます」。徒歩調査の意義をゼンリンはこう説明します。
一見表札のように見えても趣味で貼ったシールだった。店舗の前に看板があっても閉店していた。そうしたケースの場合も、徒歩調査の強みを発揮できるとします。
「地図を更に価値のある社会インフラにしていくためには、情報の正確性と網羅性を日々向上させていくことが大切だと考えています。徒歩調査で細かな街の変化を見逃さず、人の目で情報を収集し、更新していくことは、当社の企業理念でもある、『知・時空間情報の創造により人々の生活に貢献する』を実践する要素の一つであると考えております」
※ゼンリンの住宅地図は、アプリ(月額税込み990円)でも提供しています。
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