お金と仕事
女子サッカーエースが考える引退後 岩渕真奈選手のセカンドキャリア
「10年後まではやれない」
東京五輪が始まる中、気になるのがアスリートのセカンドキャリアです。現役選手であり、サッカーの日本女子代表にも選ばれている岩渕真奈さん(28)ですが、「サッカー選手のキャリアも終盤に近づいている」と話します。「コロナの感染拡大が収まったらいろんな人に会いに行きたい」と話す岩渕さん。7月24日には第2節を迎えるサッカーの日本女子。引退後についてどう考えているのでしょうか。率直な胸の内を聞きました(ライター・小野ヒデコ)
岩渕真奈(いわぶち・まな)
正直、今はサッカーと同じくらい好きなもの、やりたいことがないんです。引退後の将来について考えはするんですけど、結局、答えが見つからないままで。
周りからは、「絶対ぶっちー(岩渕選手の愛称)何でもできるでしょ」って言われるんですけど、今、好きなことを仕事にする楽しさを感じているので、次はそんな簡単にはいかないと思います。ただ、自分らしくいられる仕事が見つかったら良いなとは思っています。
「これ」というのを見つけるためにも、色々な人に出会うことや、人とのつながりは大事だと思っています。コロナが落ち着いたら、サッカーをはじめ、サッカーとは関係のない人にも話を聞きたいです。
中学時代から、コーチなどには「サッカーだけじゃないよ」、「勉強もちゃんとやれよ」と言われてきました。サッカーだけが人生じゃないことは自分自身も気づいていますし、大人になれば誰しもが自然と気づくことなのではと思っています。
ありますよ。「サッカーをやめたら何もなくなる」というのは想像できます。ある程度、やりたいことがあったら自信をもって望めると思うのですが。
今はセカンドキャリアについて何にも想像がつかないので、これから2、3年、サッカー選手として活動する間に見つけたいと思っています。
考えてなかったし、なんなら、「25歳までに子どもを産んで」とか思っていました。引退後について悩むのは、こうして第一線でプレーできる場にいるからこそだと思っています。
それは絶対ないです。そんなにやれないです(笑)
連絡は取っています。最近だと「五輪に向けてがんばって」と言われました。競技以外の話も含めて色々と話をしています。
人によると思いますし、個人スポーツ、チームスポーツでも違うと思います。サッカーに全力を注いでいる人もいれば、自分みたいにサッカー80%で、あとの20%はフワフワしている人間もいるので。
なんですかね、わからないですけど(笑)サッカーは大好きですが、100%サッカー人間だとは自分では思わないです。
応援してくれる人を近くに感じられるので、発信をがんばりたいなと思いました。シューズなどのプレゼント企画をすると、とてもよろこんでもらえるので、サッカー選手としてはもちろん、アプリの更新も、がんばんなきゃなと思います。いただいたコメントは全部読んでいます!
はい、企画から、撮影、編集を自分でしています。動画編集は初めてだったんですが、自分でやり方を調べて、挑戦しました。
コロナ禍なので、イギリスでは練習後、シャワーも浴びずに家に帰ることになっています。ロックダウンも続いたので、動画の「ネタ」には正直困っています。編集でテロップを入れているのですが、毎回「面白いのかな、この動画」と思って作業しています(笑)。
偽れないです。これは元々の性格です。すぐに感情が顔に出るし、本当に偽れない人間だと思います。もちろん嫌われたくないので、うまくやるときもあります。だからと言って、100%自分らしくない姿を演じるかといったら、そうではないという感じです。
それはあまり意識していないですね。ただ、アプリの会員登録をしてくれている人に、自分の発信をよろこんでもらえたらうれしいです。
SNSに関しては、本当に難しく、何か良いか、何が正解か、わからない世の中だと思います。その中で、まずは、自分の発言にしっかり責任を持つのが大事だと思っています。
これまで激しく批判を受けたことはあまりないですが、色々と言ってくる人はいます。その一方で、理解してくれる人もいるので、その人たちのことを大切に、自分なりにSNSを使っていけたらと思います。
サッカー選手としては、2023年オーストラリア・ニュージランドのワールドカップと、2024年のパリ五輪をしっかり目指したいと思っています。そこで活躍して結果を出すことが目標です。一人間としては、毎日、楽しく、明るく生きていければ。と言っても、「いつも明るくいよう」とはしていないので、テンションが低い時もあります。無理はしていないです。
岩渕選手の話で印象的だったのは、「今、好きなことを仕事にする楽しさを感じているので、次はそんな簡単にはいかないと思う」との一言でした。サッカーと同じくらい、夢中になり、好きになるものがなかったとしたら、引退後に何をしたらいいかわからないと感じてしまうことは、安易に想像できます。
その心境に近い話を、元格闘家の大山峻護さんがしていました。体の限界を感じ、40歳で引退をした時のことを、大山さんはこう振り返っています。
岩渕選手は「人と関わることは大事」と言っていました。引退後のキャリアについて考えても答えが出ない場合、周りの人と話をすることで、突破口が開けるかもしれません。
現役時代は目の前のことで精一杯になりがちだと聞きますが、時には中長期的な将来について考えてみるのも一つの方法だと思います。意識的に、競技の内外の人と会ったり話をしたりする機会を作ることが、キャリア形成におけるヒントにつながるかもしれません。
『明るく 自分らしく』
著者:岩渕真奈
発行:KADOKAWA
価格:1,650円(定価)
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