ネットの話題
社会的距離=ウズラ13羽分!動物園が解説「シュールだけど面白い」
飼育係の皆さんによる、動物への愛情が炸裂!
新型コロナウイルスの出現を機に、「社会的距離」(ソーシャルディスタンス)という言葉が広まりました。感染を防ぐため、周囲の人と間隔をあけることを意味しています。この考え方を動物の大きさにたとえて説明する、広島県にある動物園の看板の画像が、ツイッター上で人気です。生態について楽しく学べる点も、多くの人々をひきつけています。魅力たっぷりなデザインが完成したいきさつを、園に聞きました。(withnews編集部・神戸郁人)
もう一枚には、2人の人物の間で整列する、13羽のウズラのイラストが。よく見ると、互いに仲良くくっついたり、けんかする個体がいたり。前方の人物が「ちゃんとならびなさーい!」と声を掛けるなど、どことなくほっこりする内容に仕上がっています。
これらは同園が、社会的距離の確保を呼びかける、来園者向けの看板用として手がけたものです。動物の頭上には矢印とともに、理想的な間隔とされる「2m」と表記されています。
その後もレッサーパンダやホンドタヌキなど、さまざまな動物があしらわれた画像が公開されました。6月2日時点で、合わせて11枚に上ります。
「シュールだけど面白い」「何匹も並べられる幸せ」。ツイートを目にした人々の感想からは、喜びが伝わってくるようです。
ユーモアあふれる画像は、どのように誕生したのでしょうか? 安佐動物公園企画広報係の林臨太郎さんに尋ねてみました。
林さんによると、新型コロナウイルスの流行により、同園は4月22日から臨時休園。営業再開は、広島県に対する緊急事態宣言解除後の、5月18日まで待たなければなりませんでした。
その間、お客さんに感染症対策を促す方法を、スタッフ間で協議しました。その場で話題に上ったのが、一連の画像を作る案だったといいます。
「単に『距離を取って』と伝えるだけでは面白くない。どうせなら、園にいる動物に登場してもらおう、と盛り上がったんです」
製作には、統一のフォーマットを活用することに。約30人の飼育係が、普段関わっている動物を取り上げ、思い思いにデザインしたそうです。そのためイラストではなく写真を使ったり、人物の形が微妙に違ったりと、オリジナリティ満載の作品ができあがりました。
本日のasazooソーシャルディスタンス。2mってだいたいこのぐらいです。レッサーパンダって意外と大きいですよね。#asazooソーシャルディスタンス #レッサーパンダ #ホンドタヌキ #だいたいですよ pic.twitter.com/Py8SNlA2nL
— 広島市安佐動物公園【公式】 (@asa_zoo) May 23, 2020
SNS上で特に注目を集めたのが、ウシ科の動物「ブラックバック」を扱ったものです。
たとえば、その名の通り、背中が黒いオスの写真が載った一枚。「俺に近づいたらけがするぜ!」と言いながら頭を振り回し、元気いっぱいです。その下に「自信過剰な若いブラックバックの雄に対するソーシャルディスタンスと同じくらい」とつづられています。
別の画像には、男女のシルエットの間に、オスとメスのカップルの姿が。「やっとハレム(たくさんのメスを一匹のオスが従わせる環境)を持ったブラックバックがお気に入りの雌にアピールをがんばる距離」という一文が添えられています。
画像に興味を持った人々に対し、林さんは次のように話しました。
「安佐動物公園では、すでにお客さんが来られる環境を整えています。園内を訪れ、他の人と十分な距離を取りつつ、ぜひ実際の動物の大きさを体感して頂きたいですね」
※広島市安佐動物公園では現在、一部施設の利用やイベントを中止しています(詳しくは公式サイト)
【関連リンク】えっ!「ひざ」じゃなく「かかと」? 動物園のフラミンゴに驚きの声
1/12枚